宝塚で卒論を書こう!!~『BADDY』で卒論を執筆した私の記録とアドバイス~
こんばんは!
先日、約18,000字にも及ぶ卒業論文を提出しました。
そのテーマはもちろん、大好きな「宝塚歌劇」!!!!!
(『BADDY』を扱ったので、図版に大好きなスイートハート様が登場しました。)
ヅカヲタ大学生の皆様の中には、私のように宝塚で卒論やレポートを書きたいと思っている人も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、「宝塚で卒論を書こう!!」と題し、私の卒論執筆記録とアドバイスをまとめたいと思います。
このページが、宝塚をテーマに卒論やレポートを書く皆様にとって、少しでも何かお役に立てば幸いです。
1.テーマを決めよう!
一口にテーマが「宝塚歌劇」といっても、論文を書く切り口は様々。
「宝塚歌劇の歴史」「小林一三先生の考える国民劇」「作品分析」「男役/娘役のジェンダー」「レヴューと、タカラヅカレヴューの違い」「海外ミュージカルの導入」「ファン行動の心理」「公演ポスターの分析」などなど…
属している学部・学科によっても変わってくると思いますが、宝塚で論文を書く切り口は本当に様々です。
大好きなレヴューについて書くことはずいぶんと前から決めておりましたが、それに加え、演出家の先生の制作理念や、それが作品にどう投影されているかに関心があったので、私はとりあえずそのようなことをテーマにしようとしました。
テーマ決めでおすすめなのは、
『寝ても醒めてもタカラヅカ‼』
や『タカラヅカの解剖図鑑』
のように、宝塚に関わるいろいろな要素が紹介された本を読み、どの項目が一番興味深かったか?を振り返ること。
実際、『寝ても醒めてもタカラヅカ‼』でも、レヴューの世界や構成、演出家別のレヴューの特徴のページが一番面白かったです!
次に、扱う作品や演出家の先生を決めました。
ここで注意したいことは、
卒論のテーマは、「好きだけど、『?』と思うもの」を選ぶ
ということです。
といいますのも、当初は愛してやまない岡田敬二先生やロマンチック・レビューシリーズをテーマに卒論を書きたいなと思っていました。
ですが、私はロマンチック・レビュー信者であり、それらが盲目的に好きなので、それらに関する疑問が思い浮かばなかったんです。
とても大切なことですが、論文というのは、「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どのように」という、5W1Hの疑問を明らかにすることを目的としています。
なので、疑問が思い浮かばないテーマというのは、論文にとって致命的なのです。
一方、10,000字を超えるような論文は、「好き」という気持ちがないと書き切ることが難しいのもまた事実です。
なので、卒論のテーマは、「好きだけど、『?』と思うもの」を選びましょう。
私の場合は、大好きな「宝塚歌劇のレヴュー」の作品の中で、
初めてのレヴュー作品であるのにもかかわらず、『BADDY』でウエクミ先生が王道ではない「ストーリー仕立て」の形式を取ったことに疑問を持っていたので、
「どのような目的でウエクミ先生はストーリー仕立ての形式を用いたのか」
ということを論題として、卒論を執筆しました。
2.テーマは早く決めよう!
これは、おそらく散々言われていることと思いますが(笑)、ホントのことです。
というのも、テーマ決めが早ければ早いほど、ゼミ発表で卒論のパーツを沢山作ることができるからなんです。
ここで、1年次からの私の発表のテーマを見てみましょう。
(内容を簡単にしたものを、一部ブログ記事にしています。今後も増やす予定です。)
①なぜヴィクトリア時代の女性は、人工的で窮屈なファッションを求めたのか
②『カルーセル輪舞曲』の終着点を「日本・タカラヅカ」とした目的
③ヅカ版『風と共に去りぬ』のスカーレットのドレスは何を象徴するのか
④『CRYSTAL TAKARAZUKA』「ドール・オペラ」の結末に隠された影響
⑤『BADDY』はどのような点で画期的だったのか
⑥宝塚歌劇において、レヴューが一番最後に来る理由
⑦『BADDY』を、宝塚レヴューの枠組みを超えて、「レヴュー」として分析
⑧『BADDY』のストーリーが持つ役割
⑨(⑧の加筆修正版)
服飾史が好きなので、①・③はそれを扱いましたが、②~は宝塚歌劇を、そして、②・④~は宝塚レヴューを扱うという徹底ぶりでした。
そして、これらの発表の内容の一部をピースとし、卒論のどこで使ったかを以下で示します。
【卒論の構成】
はじめに
第一章第一節:②・⑦(宝塚レヴューの歴史)
第二節:②・⑤(宝塚レヴューの骨組み)・⑥(宝塚レヴューの楽しさ)
第三節:④(宝塚レヴューのミニドラマにおけるストーリー)
第二章第一節:⑧(ウエクミ先生について)
第二節:⑨(ウエクミ先生について)
第三節:⑨(ウエクミ先生について)
第四節:⑨(ウエクミ先生と王道の宝塚レヴュー)
第三章第一節:⑨(「ストーリー仕立て」のレヴューでできること)
第二節:⑨(BADDYのストーリー)
第三節:⑨(BADDのストーリー)
おわりに
以上のように、私の卒論は、今までの発表の一部をピースとして組み合わせ、それに加筆・修正を加えて完成しました。
もし、卒論のテーマを決めるのが遅かったら、10,000字を超える論文をほぼ一から新しく書き上げることになり、それは大変に骨の折れる作業でしょう。
しかし、テーマを決めるのが早ければ、その分卒論のピースを早くから沢山作れることになります。
こういうわけで、卒論のテーマは早くから決めておいたほうがいいです。
私の場合、『BADDY』で発表を始めたのは3年の秋でしたが、その前にも(作品は違えど)宝塚レヴューについて発表をしていたので、結果的にほぼすべての発表がパーツとして使える形となりましたし、一から新しいものを書くわけではないので、執筆に向かう気持ちもいくらか楽でした。
(もちろん、ピースを並べただけでは、卒論は完成しませんでしたが💦)
3.資料集めと、池田文庫を使い倒せ!
そして、論文執筆に大切なのは資料集め。
ちなみに、「『エリザベート』などの有名作品の研究」「男役のジェンダー」「レヴューの導入と『モン・パリ』」といった資料は割とありましたが、私がやりたかった「現代のショー/レヴュー」に関する先行研究は、ほとんどありませんでした…(泣)
(学部生の分際で、先行研究が少ないものを扱おうとしたのは、我ながらなかなか無謀なことだったな…と思います)
沢山お世話になったのは、『宝塚ショーへの招待』。
出版されたのは20年くらい前ですが、説明されているレヴューの特徴は、今の作品にも十分通じるものでした。
それから、宮本直美先生(『宝塚ファンの社会学』の方です。)の論文
「レヴューのmortality とimmortality―ジャンルとしてのレヴューと宝塚歌劇団―」。
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/635/635pdf/miyamoto.pdf
レヴューが生徒の序列を示す役割を果たし、現代まで生き残ってきたという興味深いお話です。
もちろん、『BADDY』に関する論文なんてものも存在しないので、公式サイトや公式プログラムのウエクミ先生の発言や、『歌劇』の座談会、『宝塚イズム』や新聞に載っている劇評など、使えそうなものはなんでも使いました。
また、こういった本は当然ながら学校の図書館にはなかったので、Amazonの一円出品やメルカリを使って集めました。
(論文の核になる何度も読む本は、手元にあった方が確実に便利です。)
そして、宝塚で論文を執筆するなら、池田文庫を使い倒しましょう!
池田文庫は阪急文化財団が持つ図書館で、阪急宝塚線・池田駅が最寄りです。
特筆すべきは、今までの『歌劇』や公演プログラム、『Le CINQ』をはじめ、宝塚歌劇に関して出版された本がほとんど何でも揃っていること!
(もっと言うと、歌舞伎やミュージカルなど、演劇に関する本が沢山揃っています)
資料の貸出はできませんが、無料で入館でき、自分のパソコンを持ち込んで作業をすることも可能です。コピー機もあります。
本文から図版まで、論文執筆に役に立つこと間違いなしです。
こんな素晴らしい施設、使わない手はないでしょう。
私も大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
おわりに
「宝塚で卒論なんて書けるの?」
そう思われる方もいらっしゃると思いますが、「書ける!!!!!」と思います。
(実際に私の学科でも、年に一人くらいは宝塚で卒論を書く人がいました。)
おそらく、ここまで熱を注げるものをテーマにしなければ、卒論を書ききることはできなかったでしょうし、大好きな宝塚について考えている時間は、大変ではありましたが、同時に楽しく充実したものでした。
もし、「宝塚で卒論やレポートを書きたいけど、できるかな…」と思っている人がいたら、ぜひぜひチャレンジしてみてください(*^^)v
宝塚への愛があれば、おのずと結果はついてくるでしょう。
最後に…
みんな、卒論は前倒しで書こうな…
(全て綴じ終わったのが提出15分前だった人)
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