2019年のショー作品振り返りと、2020年の展望
こんばんは!
2019年も、大劇場公演はすべて観劇したなつみちです。
ちなみに、宝塚全体での観劇は以下のような内訳。
花:3 カサノヴァ 1 青薔薇/シャルム 2
月:17 アンカレ 1 夢現無双/クルンテープ 8+ライビュ 2 OTT 国フォ 1+梅芸 2 IAFA 3
雪:1 壬生/MR 1
星:3 エルベ/エストレ 1 食聖/エクレア 2
宙:3 オーシャンズ 1 バルセロナ/NICE GUY 1 ハポン/アクアヴィーテ 1
計27回
ショーが大好きな私ですので、今回は2019年に宝塚大劇場で公演されたショー作品を振り返り、2020年のショーの展望についても考えてみたいと思います。
- 『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』星組・中村暁先生
- 『クルンテープ 天使の都』月組・藤井大介先生
- 『Music Revolution!』雪組・中村一徳先生
- 『Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』星組・酒井澄夫先生
- 『シャルム!』花組・稲葉太地先生
- 『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』~生命の水~ 宙組・藤井大介先生
- 2020年、ショーの展望
まずは作品の振り返りから。
「このシーンの〇〇さんの歌がよかった!」といった感想は多く見かけるので、今回はあえて生徒さん以外の、構成や演出に目を向けて振り返ります!
『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』星組・中村暁先生
お正月のNHKの放送を見てから、生観劇しました。
映像より生のほうが、断然楽しかったです!!
この後全ツに持っていく作品だったので、宝塚を初めて見るお客さんも知っている曲で楽しめるよう、J-POPを中心に選曲したのかな~などと思ったりしました。
ただ、そのJ-POPの使い方の難しさを、特に実感した作品でもありました。
J-POPは私たちの日常世界に身近なものであり、そのような曲が流れると、とたんに観客は現実の世界に引き戻されてしまうからです。
宝塚=現実とはかけ離れた夢の世界。
その世界を舞台上で実現するために、選曲というのはかなり重要な位置を占めているのだなと思いました。
(じゃあ、クラシックとかジャズを普段から聞いてる人はどうなの!?とかにもなりますが…)
『クルンテープ 天使の都』月組・藤井大介先生
通った通った。
ついつい脳内を駆け巡ってしまう、主題歌の中毒性。
「タイ」がテーマという、新しい試みもよかったんじゃないかなと思います。
ただ…「タイの表象」という点では、手放しで楽しめない作品でもありました。
皆さんは、「オリエンタリズム」をご存じでしょうか。
ものすごく簡単に書けば「オリエンタリズム」とは、東洋を「神秘的な未知の世界」とし、「野蛮」で「未発達」、「官能的」(性的な欲望をそそるさま)で「妖しい」ものであるとする、西洋的なものの見方です。
そしてこれは西洋人が自分たちの都合のいいように勝手に作ったものの見方で、決して実際の東洋を表したものではありません。
E・サイードが著作『オリエンタリズム』において、人種主義的・帝国主義的であるとし、この思考を批判的に検討しました。
注意したいのは、『クルンテープ』においてもそういったものの見方が用いられているのではないか?ということです。
実際に、『クルンテープ』の歌詞や台詞を拾ってみると…
「クルンテープ 淫靡な夜の香り」(淫靡…性的にだらしなさを感じるさま。みだら。)
「クルンテープ 魔性の都」
「クルンテープ 妖しい 恋の叫び」
このように、タイやバンコク(クルンテープ)と、オリエンタリズム的なイメージを結び付けかねない表現があったと思います。
「タイって素敵だよ!」ということを表現するショーであったはずなのに、このような批判すべき西洋的なものの見方での表現が一部なされたことは、私は問題であったと感じました。
(このことについては、詳しく取り上げたいと思っています。)
『Music Revolution!』雪組・中村一徳先生
中村B先生のショー作品は「 幾何学!電飾!群舞!カラフル!フィナーレ盛りだくさん!」というイメージでしたが、今回もそんな感じでした(笑)安定の中村B先生。
二階席から観劇したので、群舞でのフォーメーションがきれいに見えてよかったです。
ただ、ずっと「平場での大人数群舞・歌とダンスのシーン」の繰り返しだったことが気になりました。ストーリーのあるシーンや少人数のシーンなどを盛り込み、もう少しメリハリやバラエティー性が欲しかったところです。
『Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』星組・酒井澄夫先生
どう転んでも清楚にしかならない、酒井先生の持ち味が生かされた、超・王道なレヴュー作品だったなと思いました。
心にしみじみと染みるような、少しノスタルジックな主題歌も素敵でした。
特筆すべきは、皆さんも書いておられた「ボレロ」のシーン。
フォーメーションだけで見せていくというシンプルな手法が、ゴテゴテした構成が主流な中で、逆に新鮮で印象に残りました。
また、現代的でぶっ飛んだお芝居と、清楚で王道なレヴューという、この公演の組み合わせもよかったなと思いました。
『シャルム!』花組・稲葉太地先生
アイデアが面白かった。その一言に尽きます。
「パリの地下都市」というテーマも新鮮だったし、レヴューの展開にも午前〇時~と進んでいく時系列があって、見ていて統一性を感じました。
また、マンホールに入り地下に潜るということが、セリを使って表現されていたのも面白かったです。そして、セットには階段が使われており、「これを使ってどんどん地下に行っているんだな」ということがよく分かりました。
『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』~生命の水~ 宙組・藤井大介先生
一階席の一番後ろという、身長151㎝の私にはめちゃくちゃ見えづらい座席で一回のみの観劇だったので、あまり印象に残っておらず、すみません。
ただ、「ウイスキー」をテーマにして、真風さん他宙組メンバーがかっこよく演出されていたので、その点においては成功だったといえるのではないでしょうか。
あと、女装祭りは安定のダイスケ先生だな~と思いました(笑)
2020年、ショーの展望
今日時点で2020年の大劇場公演の作品は、9月の星組まで発表されています。
注目したいのは、ここまで一本物と二本立てが交互に来ていること。
星組の次の花組は、おそらく二本立てであると予想しますが、最後の月組は果たしてどうでしょうか!?ここまで来たらもう、一本物でも驚かないけど!?
私は宝塚の華=ショーだと思っていて、ショーを楽しみに観劇に行くタイプなので、ここまでの一本物の多さには、正直さみしさを感じます…
また、月組ファンとしても、そろそろ王道の洋物ショーが欲しいところです。次は日本物レヴューだし。
(王道の洋物ショーは、2017年の『CRYSTAL TAKARAZUKA』(再演)、大劇場だと2017年の『カルーセル輪舞曲』にまで遡るでしょうか(『BADDY』はストーリー仕立てだったし、『クルンテープ』はアジアものだったので))
(というか、御園座まで一本物ってどうよ…地方の人は、ショーを見てこそ「タカラヅカを見た!!!」となるのではないでしょうか…)
また、月組は9月に全国ツアーがあるので、そこでどのショーが再演されるかも楽しみです。(まさか、全ツまで一本物なんてこと、ないよね…?)
もう一つ注目すべき点は、来年の作品を担当する演出家の先生です。
『Ray -星の光線-』こそ中村一徳先生ですが、その後の『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』は久々の植田紳爾先生(私は歌舞伎ファンでもあるので、監修:坂東玉三郎というのも気になるところです)、そして『シルクロード~盗賊と宝石~』は、生田先生のショーデビュー作です。
いつもショーを担当されるダイスケ先生や稲葉先生、中村A先生、野口先生、ベテランの酒井先生や岡田先生といった方々が、今のところショーの担当に名前が見当たりません。
ということで、来年のショー模様は、いつもとは変わった感じになりそうですし、残り二作品でどの先生が登板されるのかが楽しみです。
一番気になるのは、生田先生の初のショー作品。
ウエクミ先生の初のショー作品は、「芝居」の流れをくむストーリー仕立ての形式でしたが、果たして『シルクロード』は、いったいどのような形式の作品になるのでしょうか!?
つらつらと書いてきましたが、2020年のショーも、
どうか素敵なものとなりますように✨
それではみなさま、よいお年をお迎えください~!
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