深掘り*タカラヅカ

男役イメージの研究で修士号を取得した筆者が、宝塚をあれこれマニアックに深掘りします。

タカラヅカ・レヴューに求めること。

こんばんは🌸

 

 

今日は私がタカラヅカ・レヴューに求めることについて書きます。

 

もっと詳しく言えば、レヴューを作る時、演出家の先生にはこんなことを意識してほしい!といったところでしょうか。

 

 

それではさっそく行ってみましょう。

 

 

 

(なんとなく今まで撮ったレヴューの写真を並べてみた。)

 

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1.上品であること。

 

宝塚でやるからには、品の良さだけは最低限守っていただきたいです。

これはお芝居・レヴューを通じてなのですが、他のカンパニーと置き換えたらたちまち成り立たなくなってしまうような、宝塚でしかできないような作品が見たいんです。

 

こう思うのも、私は宝塚の独自性に強く惹かれているからなのだなぁ…

 

 

 

2.色使いが美しいこと。

 

どの作品とは言いませんが、(特に衣装の)色使いがごちゃごちゃしていて、見ていて気分があまり良くなかったことが何度かあったので…

 

カラフルだからいい、というわけではないと思います。

 

 

 

 

3.当て書きがなされていること。

 

劇団に座付きの演出家がいるのはなぜか??

それは、スターさんに当て書きをするために他ならないでしょう。

 

「誰がやろうが関係ない!自分はこれがやりたい!!」という演出家の思いが透けて見え、かつそれによってスターさんの魅力が台無しになっていることほど、興ざめなことはありません・・・・・

 

一方、私は「芸術=作者の自己表現」だとも思っていますし、演出家の先生が各自の色を出すからこそ、上演作品のバラエティ性が生まれるとも考えています。

 

演出家の先生の個性と当て書き、このバランスは難しいところです…

 

 

 

4.トップ娘役さんの出番がしっかりあること。

 

たまーに、トップ娘役さんがプロローグのあと中詰めまで出てこないという作品がありますが、見ていてとても悲しくなります…

トップ娘役さんは「主演」娘役なのに!!

 

大体の作品では、中詰めの前に二つシーンがありますが、そのどちらかには必ず出演、そしてどちらかはトップ娘役さんが中心のシーン、というのが理想です。

 

トップ娘役さんがバーンと真ん中を張れることは、作品の充実にもつながるのではないかなと思います。

 

 

 

5.各シーンがきちんとテーマに沿っていること。

 

 

通常、タカラヅカ・レヴューには何らかのテーマがあり、それに関連した場面が次々と展開される構成となっていますが、各シーンは繋がりを持たず、それぞれ独立しています。

 

私はレヴューが持つテーマによって、バラバラな各シーンに一本筋が通るのが溜らなくいいなと感じているので、各シーンはきちんとテーマに沿ってほしいなと思っています。

 

 

また、レヴューのテーマは抽象(愛・希望など)よりかは具体(ワイン・花など)のほうが好きですね。

「なぜこのテーマでこのシーン?」と考え込み、モヤモヤして純粋に作品を楽しめなくなることが少ない気がするので…

 

 

 

 

6.理屈ではなく生理で観客を楽しませること。

 

私の考えたものを例として挙げるのは申し訳ないのですが…

以前、19世紀後半のヨーロッパにおける芸術運動「ジャポニスム」をテーマにレヴューを考えました。

 

natsu3ichi.hatenablog.com

 

 

 

このレヴューでは、日本美術に影響を受けている西洋絵画をモチーフに、各場面を構成しました。

 

私のように美術史をかじった者からすれば、

「あ~!西洋絵画のこんなところに日本美術の影響があるのか~~すごい~~~楽しい~~~~~!!!!!」

 

と理屈で楽しめるのですが(笑)

 

 

美術に興味の無い人からしたら「はぁ?」って感じでしょうし、分からせるために説明を入れ込んでも、レヴューの本質からはかけ離れていってしまうでしょう。

 

またテーマが難解であり、理屈っぽくて理解するのに沢山頭を働かせなければいけないのも、タカラヅカ・レヴューにはふさわしくないと思います。

 

 

 

同じく考えた中で、古代ギリシアの詩の世界をテーマにしたものがあったのですが、

 

natsu3ichi.hatenablog.com

 

こういったような、説明がないと分からない・理解できない・難しいものは、タカラヅカ・レヴューには向いていない題材なのだと思います。

 

 

(そもそも説明があっても難しくて、考えた人も100%理解できていないという…ギリシア哲学おそろしや…😇😇😇)

 

 

『宝塚ショーへの招待』において、荷宮和子さんはタカラヅカ・レヴューについて以下のように説明しています。(ここでは、レヴュー=ショーとします。)

 

 

宝塚ショーの醍醐味は「音楽と踊りを中心に、理屈抜きで観客を単純で心地よい感情にひたらせてくれるもの」と定義できる。

 

宝塚ショーは観客に「楽しかった」と思わせることこそに全てのエネルギーとテクニックを注ぎ込むものである。

 

 

つまり、タカラヅカ・レヴューは理屈以外で観客を楽しませるものであると言えます。

では、理屈以外の何で楽しませるかというと、そこには歌や踊りが関わってくると考えられます。

また、歌と踊りは感覚器官で受け取るものであり、これらに訴えかけて観客を楽しませることは、生理で楽しませることであると言い換えられるでしょう。

 

 

以上より、頭で考えさせる理屈ではなく、歌や音楽で聴覚に、踊り・衣装・色彩・セットなどで視覚に訴え、感覚を通じて生理で観客を楽しませるということが、タカラヅカ・レヴューにおいて重要だと考えられます。

 

そして、生理で観客を楽しませるためには選曲や色彩が特に重要になってくると思いますし、そういった仕掛けが上手く機能しているレヴューは55分があっという間に過ぎ、見終わった後に心から「楽しかった!元気になった!!」と思えるのではないでしょうか。

 

(『BADDY』は生理でも理屈でも楽しめた、稀有なレヴューだったと思います。)

 

 

 

 

おわりに

 

つらつらとわがままに書いてきましたが、レヴューの好みは人それぞれですし、誰もが納得できるレヴューを作ることは不可能でしょう。

 

そんな中で、一番大切なのはやはり「楽しかった!!」と思えるレヴューを作ることなのではないでしょうか。

 

 

それこそがレヴューの持つ働きであり、劇団がレビューに求めていることでもあると思うので。

(お芝居→レヴューの順で上演されるのは、観客に明るく前向きな気持ちで帰路についてほしいという劇団のメッセージなのではないかなと思っています。)

 

 (まぁ私は、パレードでスターさんが笑顔で階段を降りてくるだけで「楽しかった~~~」と思う、チョロいファンなのですが)

 

 

 

最後に、岡田敬二先生作詞の「アイ・ラブ・レビュー」より、私の大好きな歌詞の一部を紹介します。

 

「全ての夢を集め 明日のため力与える」

「つかの間の安らぎ 愛と夢にみち」

 

 

 

誰もが安心して楽しめて、見終わった後に元気をもらえる…

 

この歌詞に、タカラヅカ・レヴューの持つ力が集約されていると感じます。

 

 

いつの日かまた、笑顔でレヴューを楽しめる日が必ず来ると信じて。

 

 

 

 

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