深掘り*タカラヅカ

男役イメージの研究で修士号を取得した筆者が、宝塚をあれこれマニアックに深掘りします。

酒井レヴューと銀の薔薇

こんばんは💐

 

 

先週はスカイステージにて、紅さんのご卒業公演の放送もありましたね🌟

 

レヴューの方は、演出家の酒井澄夫先生が担当されました。

 

 

特に近年の酒井先生のレヴューは、どう転んでも清楚にしかならず、心にしみじみと染み渡るような雰囲気が魅力的です。

 

また、歌詞の日本語の美しさも大好きなポイントの一つです。

 

 

そんな先生のレヴューをいくつか見ていく中で、主題歌の歌詞に「銀の薔薇」が登場しているという点が気になったので、今回はそれについて書きます🌹

 

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(大昔に描いた、『Bouquet de TAKARAZUKA』の綺咲愛里さん。)



 

『エンター・ザ・レビュー』

春野寿美礼さん主演の花組により、2005年に初演されたレビュー。

 

「夢を見れば…」の歌詞には、

空にきらめく 二人の愛の 銀の薔薇

 

とあります。

 

 

『Bouquet de TAKARAZUKA』

紅ゆずるさん主演の星組により、2017年に初演されたレビュー。

 

「Bouquet de TAKARAZUKA」には、

銀の薔薇 美しく 夜空に咲き香る

 

という歌詞が。

 

 

 

『Èclair Brillant』

 そしてこちらは、紅さんのサヨナラ公演のレヴュー。

 

「Èclair Brillant」にはまたまた同じく、

夜空に 撒かれた 銀の薔薇

 

とありました。

 

 

 

このように、酒井先生のレヴューの主題歌には「銀の薔薇」という歌詞が頻出しています。

 

 

 

この銀の薔薇は、いったい何を示すのか…?

 

3つの共通点から、「空にあるもの」であることは明らかですが、残念ながら詳しくは分かりませんでした…

ですが、公演プログラムや『歌劇』の座談会に何かヒントがあるかもしれないので、池田文庫でまた確認したいと思います~!

 

 

ちなみに、『エンター・ザ・レビュー』から『Bouquet de TAKARAZUKA』の間に、先生は『レ・ビジュー・ブリアン』と『Passion 愛の旅』を発表されています。

こちらの主題歌の歌詞を調べたところ、「銀の薔薇」は登場していませんでした。

 

 

タカラヅカ関連で言いますと、真琴つばささん主演の『愛のソナタ』には、「銀のばら」が登場するみたいです。

このお芝居の解説は以下です。


宮廷では婚約に先立って、花婿から花嫁に銀のばらを贈る習慣があり、そのばらを届ける使者を"ばらの騎士"と呼んだ。

華麗な貴族の世界を舞台に、銀のばらを巡るいくつもの恋模様が織りなすロマンティック・ストーリー*1

 

(これめっちゃ見たいんですけど、権利関係で放送されないのだろうか…)

 

 

『愛のソナタ』は、R・シュトラウスの《ばらの騎士》を原作としています。

このオペラにおける銀のばらは、「時」のアレゴリーであるという研究がありました。

www.classicajapan.com

 

 

 

また、明日海りおさん主演の『ポーの一族』は漫画を原作としていました。

その漫画のシリーズの中には、『メリーベルと銀のばら』というタイトルの作品が。

ja.wikipedia.org

 

 

そして、彩吹真央さん主演の『シルバー・ローズ・クロニクル』という作品もありましたね。

archive.kageki.hankyu.co.jp

 

 

 

 

次に酒井先生の新作レヴューが上演される際には、主題歌に「銀の薔薇」が登場するのかをチェックしたいと思います✨

 

 

 

 

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シャーロットに見る、19世紀英国レディの生活

こんばんは🌸

 

本日スカイステージにて、『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』が放送されましたね!

 

 

今回はこのお芝居より、華さん演じるヒロイン・シャーロットに焦点を当て、19世紀ヴィクトリア時代*1の英国レディの生活について深掘りしていきたいと思います!!

 

f:id:Natsu3ichi:20200422212527j:plain

 

(久々に絵を描きました…!)

 

 

 

 

 

階級

まず大前提といたしまして…

イギリスは階級社会と言われますが、それはこのお芝居でも同じ。

物語には様々な階級の人物が登場しますが、彼らがどの階級に属するのかを意識することで、物語の世界がより理解できるようになると思われます。

 

19世紀のヴィクトリア時代は、上流・中流・労働者階級の3つの階級でとらえるのが一般的であるとされます*2

 

それでは、登場人物たちがどの階級に属するのかを確認しましょう。

 

 

 

まず、上流階級についてです。

 

上流階級は、貴族と地主である。土地を貸して得られる収入や金利で、労働せずに生活できるのがたてまえであった。*3

 

シャーロットは貴族の令嬢であるため、この上流階級に属します。

また、紅羽さん演じる彼女の父親(エドモンド)や城妃さん演じる母親(フローレンス)も同じくですね。

 

ただ、貴族の中でも位が存在します。

英国において、貴族は(上から順に)公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の五つの位に分けられます*4

シャーロットのウィールドン家は子爵であるため、貴族の中でも位は下の方になるでしょう。

 

 

次に、中流階級です。働かなくても生きていける上流階級に対し、中流階級はビジネスで生計を立てている人びとを指します*5

 

柚香さん演じる植物学者のハーヴィーや、瀬戸さん演じるオズワルド・ヴィッカーズ、そしてヴィッカーズ社で働く社員たちがこの階級に当たりますね。

 

 

最後に、労働者階級です。労働者階級はその名のとおり、肉体労働によって対価を受け取る人びとを指します*6

真っ先に農夫などが思い浮かびますが、家事使用人はここに属する*7ため、水美さん演じるウィールドン家の庭師ニックなども、この階級に当たりますね。

 

 

このように『A Fairy Tale』には、様々な階級の人々が登場することが分かります。

ちなみにエリュは妖精なので、階級は関係ないですね…笑

(彼は無差別級なんだ!  by 某ロンドンミュージカルの主人公)

 

 

寄宿学校

ここからは、実際にシャーロットに焦点を当てていきます。

 

 

成長したシャーロットは、寄宿学校に入っていました。

時代は下りますが、とあるイギリス貴族の令嬢が入った寄宿学校は、以下のように説明されています。

 

(前略)1921年、16歳のときに近隣の寄宿学校ハザロップ・カースル・スクールに入学した。これは上流の子女が送られる仕上げ学校(フィニシング・スクール)の一つであった。その名のとおり、社交界に出る直前の伝統的な仕上げ教育をほどこすところで、日本語で「花嫁学校」という訳語があてられる場合もある*8

 

シャーロットは寄宿学校について、「行儀作法や決まりごとがいっぱいあって」と言っています。

彼女も上述の令嬢と同じように、社交界デビューに備えた教育を受けていたのではないでしょうか。

 

 

 

 

薔薇の季節と社交界

物語の中で

 

 「エリュ、あのね、私もう薔薇の季節にこの屋敷に来られないの」

「どうして?」

「来年、社交界デビューしなくてはいけないの。だからこれからは、この季節はロンドンで過ごすことになるんですって」

 

 

 

というやりとりがありましたが、次はここについて詳しく見ていきます。

 

 

 

まず、イギリスにおける「薔薇の季節」とはいつであるのかを確認しましょう。

下記サイトによると、6月初旬~中旬が、イギリスにおいて薔薇の一番の見頃だそうです。

tamipote.com

 

次に、ロンドン社交界について。

少し余談にはなりますが、ヴィクトリア時代後半の上流社交界に出入りする家に生まれついた「良家の令嬢」は、17~18歳で社交界デビューする*9とのことなので、この時のシャーロットは16~17歳であることが推測できます。

 

また、晴れて社交界デビューした暁には、シーズン中はロンドンで過ごすことになります。

 

ヴィクトリア女王時代、春から初夏のロンドンでは、令嬢のデビューのみならず数多くの社交界の催しがあり、上流階級の人々の多くが、こぞって田園の領地から首都に集まった。この期間のことを「ロンドン社交界(シーズン)」と呼ぶ*10

 

シャーロットの場合、シーズン中はウィングフィールドのお屋敷(田舎の領地)を離れ、ロンドンに住むということになりますね。

 

また、社交期が本格的に幕を開けるのは5月の初め*11だそうです。

 

少なくともその時期からロンドンに住むとなると、シャーロットは6月初旬からの「薔薇の季節」にはお屋敷に来られず、したがってエリュとも会うことができないということがよく分かります。

 

 

 

喪服

「お母さまが亡くなった悲しみを忘れたくはないから」と、シャーロットは黒い喪服を着続けていました。

 

誰かを亡くした場合一定期間喪服を着るのも、当時の人々に求められたエチケットの一つでした。

親を亡くした子どもは、その人ごとの感情によって異なりますが、6か月から18か月の間、喪服を着るべきであるとされていました*12

 

真鳳さん演じる後妻のイヴリンに「いつまでその喪服を着ているつもり?」と言われていることから、おそらくそれ以上シャーロットは喪服を着続けていたのでしょう。

 

 

そして、喪服といえば当時のイギリスを治めるヴィクトリア女王

夫のアルバート公が亡くなった後、彼女は死ぬまで喪服を着続けたそうです。

 

 

 

結婚

シャーロットの結婚には、当時の貴族の女性が置かれていた環境がリアルに描かれています。

 

まず、彼女は貴族であるので、実家の資産や土地を受け継げばよいのでは?とお考えになるかもしれません。

ですが、多くの場合は男性のみに継承を認め、長男から順に男系の親族をたどっていくようになっており、女性はふつう継承を認められませんでした*13

つまり、シャーロットは自分の家の土地や財産を引き継げないのです。

そして、おそらくウィールドン家の子供は彼女しかおらず、父親の死後は男系の親族をたどって継承がなされることでしょう。また該当者がいなければ、爵位は消滅してしまうそうです*14

 

 

継承ができないのなら、自分で働いてお金を稼げば?とも考えられます。

しかし社会通念上、貴族の女性には仕事をして自活することが許されなかったそうです*15

 

寄宿学校の同級生たちは彼女について、

「シャーロットって、ちょっと変わっているわね」

「貴族の娘なのに、仕事を持ちたいっていうのよ」

「女性が働いて、自分でお金を稼ぐの?はしたない!」

 

と言っていましたが、残念ながらこのように言われてしまうのも仕方がないのです…。

 

 

 

となると、この先生きていくにはお金持ちと結婚するしかありません。

 

実際、生まれ育ちはよいが目立った財産がない令嬢たちにとって、すでに身についてしまった生活レベルを落とさずに生きるためには、条件の良い結婚のほかにほとんど考えられなかったそうです*16

これは、子爵家に生まれて上流階級の暮らしをしてきたものの、実家には十分な資産がない彼女にも当てはまるでしょう。

 

 

彼女の結婚相手は、羽立さん演じるギルバートという人物です。

彼は十分な資産を持っていますが、実業家ということで中流階級に属する人物です。

 

階級は彼女より下ですが、中流階級の上層には貴族をしのぐ莫大な収入をほこる新興成金もいた*17ようで、もしかしたら彼の資産はウィールドン家よりも上だったかもしれません。

事実、彼女の父親は子爵家の体面を保つだけでも大変だったそうですし。

 

 

 

「それが我々上流社会の常識です、一生贅沢に暮らせるわ」

「あなたが財産のある家に嫁ぐことで、みんなが幸せになるの」

 

これらのイヴリンの台詞には、当時の貴族の令嬢が置かれていた環境が凝縮されているように思われます。

 

 

おわりに

今回の参考文献の中心である

図説 英国貴族の令嬢 (ふくろうの本)

図説 英国貴族の令嬢 (ふくろうの本)

  • 作者:村上 リコ
  • 発売日: 2014/09/25
  • メディア: 単行本
 

 

 

こちらの2冊はとてもお気に入りで、何度も読み返しているのですが、読むたびに「あぁ、19世紀のヨーロッパのお嬢様じゃなくてよかった…」と思います。

 

もちろん、華やかなドレスやお屋敷の暮らしなどには憧れますが、彼女たちの生活には自由など存在しなかったように思われます。

 

そんな中で、「自分の心の感じるまま、信じるままに生きたい」と願い、その生き方を選んだシャーロットの強さを、当時の英国レディの生活を知ることでより感じることができるのではないでしょうか。

 

 

 

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*1:ヴィクトリア女王が統治した、1837年~1901年を指す。

*2:村上リコ『図説 英国貴族の令嬢』河出書房新社、2014年、p.6。

*3:村上(2014)p.6。

*4:村上(2014)p.8。

*5:村上(2014)p.6。

*6:村上(2014)p.6。

*7:村上(2014)p.6。

*8:村上(2014)p.34。

*9:村上リコ『図説 英国社交界ガイド』河出書房新社、2017年、p.11。

*10:村上(2017)p.13。

*11:村上(2017)p.14。

*12:村上(2017)p.117。

*13:村上(2014)p.9。

*14:村上(2014)p.9。

*15:村上(2014)p.67。

*16:村上(2014)pp.66-67。

*17:村上リコ『図説 英国メイドの日常』河出書房新社、2011年、p.9。

AfO リュリのバインダーには何が書かれているのか!?

こんばんは🌙

 

今回取り上げる作品は、月組『All for One』です!

 

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ラブあり冒険ありで、男役さんはかっこよく、娘役さんはかわいらしく。

沢山笑えて、見終わった後はスカっと爽快感があって…

誰もが楽しめる、まさにエンターテイメントという感じの作品ですよね!!

 

また個人的には、各ジェンヌさんへの当て書きが素晴らしいということも、大好きなポイントの一つです。

 

 

さて、劇中には佳城葵さん演じる、バレエ振付師のリュリというお役が登場しておりました。

また、彼が持っていたバインダーが、宝塚歌劇の殿堂に展示されていました。

 

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何やらそこには、フランス語がたくさん…

 

 

 

いったい何が書かれているのか?

気になった私はフランス語の辞書片手に、翻訳を試みました…!

 

 

 

先に感想を言っておきますと、全体的に、筆記体を読むのに苦労いたしました…

あと、やはり私の力不足もあり、かなり意訳が入っておりますことを予めご了承くださいませ<m(__)m>

 (そして確実に間違ってるところがあると思われる…😇)

 

それでは行ってみましょう!!

 

 

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バレエ(フランス:バレエ 1 2)とは、ヨーロッパにおいて偶然にも流布した、言葉を持たない舞台上のダンスである。

 

初っ端の「gnr?」が分からなくて、いきなり心が折れました…(分からないので飛ばした←)

 あと、()の中も地味に謎ですね。

 

 

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また、ダンスによって作品が構成される。

 

 

 

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そして、楽団による演奏や舞台美術を伴った、ダンスによる表現の打ち出しでもある。

 

「tape:肩をたたくこと」のニュアンスをどう出したらいいかが難しかったですね…

(よく分からん…)

 

 

 

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物語は複数の幕を持ち、そこには沢山のダンスのドラマが存在する。

 

 

 

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くるみ割り人形白鳥の湖、眠れる森の美女、ドン・キホーテなど)

 

物語バレエの、タイトルの羅列ですね。

(眠れる~を除き、)フランス語ではこのように表されるのだと、とても新鮮でした!

 

 

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しかしながら20世紀以降、物語を否定するような作品も登場する。

 

このような作品はプロットレス・バレエとも呼ばれ、この概念を提唱したジョージ・バランシン(1904-1983)は「現代バレエの父」とされています*1

ja.wikipedia.org

 

 

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手をキープする

 

手を挙げたままにする振付ってことなのかな?

 

 

 

 

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ルイ14世の周りに…

太陽を崇拝するためのイメージを位置づける。

 

「taler?」が分からなかった。

ここに出てくる太陽は、太陽王ルイ14世ってことですよね、たぶん。

二行目の「D」が何なのかも、最後まで分かりませんでした…

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?!

やはり予想通りですが、バレエについての内容が書かれていましたね。

 

 

 

 

 

 

訳してみて思ったのが、リュリは未来人なのか?!ということです。

 

 

 

といいますのも、「『All for One』の舞台は17世紀である」ということを前提とした上で…

 

 

まず⑥では、20世紀以降のバレエについて触れているじゃないですか。

 

また、⑤で登場するバレエ作品は、いずれも19世紀が初演です*2

 

 

このように、リュリのバインダーには未来のことが書かれているのです…!

 

 

 

おそらく、内容に深い意味はないと思いますが、リュリ未来人説が出てきたのが面白かったので、併せて書いてみました(笑)

 

 

 

宝塚の小道具でもう一つ訳したものがあるので、また紹介しますね~!

 

 

 

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*1:渡辺真弓『名作バレエ50 鑑賞入門』世界文化社、2012年、p.116。

*2:くるみ割り人形:1892年、白鳥の湖:1877年、眠れる森の美女:1890年、ドン・キホーテ:1869年

タカラヅカ・レヴューに求めること。

こんばんは🌸

 

 

今日は私がタカラヅカ・レヴューに求めることについて書きます。

 

もっと詳しく言えば、レヴューを作る時、演出家の先生にはこんなことを意識してほしい!といったところでしょうか。

 

 

それではさっそく行ってみましょう。

 

 

 

(なんとなく今まで撮ったレヴューの写真を並べてみた。)

 

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1.上品であること。

 

宝塚でやるからには、品の良さだけは最低限守っていただきたいです。

これはお芝居・レヴューを通じてなのですが、他のカンパニーと置き換えたらたちまち成り立たなくなってしまうような、宝塚でしかできないような作品が見たいんです。

 

こう思うのも、私は宝塚の独自性に強く惹かれているからなのだなぁ…

 

 

 

2.色使いが美しいこと。

 

どの作品とは言いませんが、(特に衣装の)色使いがごちゃごちゃしていて、見ていて気分があまり良くなかったことが何度かあったので…

 

カラフルだからいい、というわけではないと思います。

 

 

 

 

3.当て書きがなされていること。

 

劇団に座付きの演出家がいるのはなぜか??

それは、スターさんに当て書きをするために他ならないでしょう。

 

「誰がやろうが関係ない!自分はこれがやりたい!!」という演出家の思いが透けて見え、かつそれによってスターさんの魅力が台無しになっていることほど、興ざめなことはありません・・・・・

 

一方、私は「芸術=作者の自己表現」だとも思っていますし、演出家の先生が各自の色を出すからこそ、上演作品のバラエティ性が生まれるとも考えています。

 

演出家の先生の個性と当て書き、このバランスは難しいところです…

 

 

 

4.トップ娘役さんの出番がしっかりあること。

 

たまーに、トップ娘役さんがプロローグのあと中詰めまで出てこないという作品がありますが、見ていてとても悲しくなります…

トップ娘役さんは「主演」娘役なのに!!

 

大体の作品では、中詰めの前に二つシーンがありますが、そのどちらかには必ず出演、そしてどちらかはトップ娘役さんが中心のシーン、というのが理想です。

 

トップ娘役さんがバーンと真ん中を張れることは、作品の充実にもつながるのではないかなと思います。

 

 

 

5.各シーンがきちんとテーマに沿っていること。

 

 

通常、タカラヅカ・レヴューには何らかのテーマがあり、それに関連した場面が次々と展開される構成となっていますが、各シーンは繋がりを持たず、それぞれ独立しています。

 

私はレヴューが持つテーマによって、バラバラな各シーンに一本筋が通るのが溜らなくいいなと感じているので、各シーンはきちんとテーマに沿ってほしいなと思っています。

 

 

また、レヴューのテーマは抽象(愛・希望など)よりかは具体(ワイン・花など)のほうが好きですね。

「なぜこのテーマでこのシーン?」と考え込み、モヤモヤして純粋に作品を楽しめなくなることが少ない気がするので…

 

 

 

 

6.理屈ではなく生理で観客を楽しませること。

 

私の考えたものを例として挙げるのは申し訳ないのですが…

以前、19世紀後半のヨーロッパにおける芸術運動「ジャポニスム」をテーマにレヴューを考えました。

 

natsu3ichi.hatenablog.com

 

 

 

このレヴューでは、日本美術に影響を受けている西洋絵画をモチーフに、各場面を構成しました。

 

私のように美術史をかじった者からすれば、

「あ~!西洋絵画のこんなところに日本美術の影響があるのか~~すごい~~~楽しい~~~~~!!!!!」

 

と理屈で楽しめるのですが(笑)

 

 

美術に興味の無い人からしたら「はぁ?」って感じでしょうし、分からせるために説明を入れ込んでも、レヴューの本質からはかけ離れていってしまうでしょう。

 

またテーマが難解であり、理屈っぽくて理解するのに沢山頭を働かせなければいけないのも、タカラヅカ・レヴューにはふさわしくないと思います。

 

 

 

同じく考えた中で、古代ギリシアの詩の世界をテーマにしたものがあったのですが、

 

natsu3ichi.hatenablog.com

 

こういったような、説明がないと分からない・理解できない・難しいものは、タカラヅカ・レヴューには向いていない題材なのだと思います。

 

 

(そもそも説明があっても難しくて、考えた人も100%理解できていないという…ギリシア哲学おそろしや…😇😇😇)

 

 

『宝塚ショーへの招待』において、荷宮和子さんはタカラヅカ・レヴューについて以下のように説明しています。(ここでは、レヴュー=ショーとします。)

 

 

宝塚ショーの醍醐味は「音楽と踊りを中心に、理屈抜きで観客を単純で心地よい感情にひたらせてくれるもの」と定義できる。

 

宝塚ショーは観客に「楽しかった」と思わせることこそに全てのエネルギーとテクニックを注ぎ込むものである。

 

 

つまり、タカラヅカ・レヴューは理屈以外で観客を楽しませるものであると言えます。

では、理屈以外の何で楽しませるかというと、そこには歌や踊りが関わってくると考えられます。

また、歌と踊りは感覚器官で受け取るものであり、これらに訴えかけて観客を楽しませることは、生理で楽しませることであると言い換えられるでしょう。

 

 

以上より、頭で考えさせる理屈ではなく、歌や音楽で聴覚に、踊り・衣装・色彩・セットなどで視覚に訴え、感覚を通じて生理で観客を楽しませるということが、タカラヅカ・レヴューにおいて重要だと考えられます。

 

そして、生理で観客を楽しませるためには選曲や色彩が特に重要になってくると思いますし、そういった仕掛けが上手く機能しているレヴューは55分があっという間に過ぎ、見終わった後に心から「楽しかった!元気になった!!」と思えるのではないでしょうか。

 

(『BADDY』は生理でも理屈でも楽しめた、稀有なレヴューだったと思います。)

 

 

 

 

おわりに

 

つらつらとわがままに書いてきましたが、レヴューの好みは人それぞれですし、誰もが納得できるレヴューを作ることは不可能でしょう。

 

そんな中で、一番大切なのはやはり「楽しかった!!」と思えるレヴューを作ることなのではないでしょうか。

 

 

それこそがレヴューの持つ働きであり、劇団がレビューに求めていることでもあると思うので。

(お芝居→レヴューの順で上演されるのは、観客に明るく前向きな気持ちで帰路についてほしいという劇団のメッセージなのではないかなと思っています。)

 

 (まぁ私は、パレードでスターさんが笑顔で階段を降りてくるだけで「楽しかった~~~」と思う、チョロいファンなのですが)

 

 

 

最後に、岡田敬二先生作詞の「アイ・ラブ・レビュー」より、私の大好きな歌詞の一部を紹介します。

 

「全ての夢を集め 明日のため力与える」

「つかの間の安らぎ 愛と夢にみち」

 

 

 

誰もが安心して楽しめて、見終わった後に元気をもらえる…

 

この歌詞に、タカラヅカ・レヴューの持つ力が集約されていると感じます。

 

 

いつの日かまた、笑顔でレヴューを楽しめる日が必ず来ると信じて。

 

 

 

 

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ステージスタジオを攻略せよ!(体験と感想)

こんばんは🌟

 

昨日の「マツコ会議」にて、宝塚大劇場内にあるステージスタジオが特集されましたね~!!

 

www.ntv.co.jp

 

 

 

 

また、スカイステージの「ときめきタカラヅカSTYLE」#6でも七海さんが扮装に挑戦していたり、

 

www.tca-pictures.net

 

 

友達と「行きたいね~」なんて話していたりと、なんだか最近触れる機会が多い気がするので、今回はこのステージスタジオについて書いていきたいと思います~!!

 

 

 

 

 

何を隠そう、私はこのステージスタジオが大好きで…

2017年から毎年行っているほどです(笑)

最初に行ったのはちょうど20歳になった日で、凄く思い出に残る誕生日となりました🍰

 

(今年は友達と卒業記念に行きたかったのですが、今はこんな状況なので、また落ち着いたら二人で行きたいなぁと思っています。)

 

 

 

(以下、ヅカメイクで顔が激変しているので、写真載せます)

 

今までに着たお衣装はこちら!!

 

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特に好きなのは、やはり『1789』のアントワネットのドレスですね💕

 

私はステージスタジオの衣装一覧のページ

kageki.hankyu.co.jp

 

にたどり着き、

「1789?のマリー・アントワネットのドレス、めちゃくちゃかわいい!!!!!!!」

 

と思って宝塚にはまったという、なんとも意味が分からない経歴を持っているので、実際に着れたときの喜びや感動は、言い表せないものがありましたね。

 

(好きすぎて二回着てます…(笑))

 

 

 

また、自分のパーソナルカラーがブルべ夏だということもあるかもしれませんが、『エリザベート』の戴冠式の紺色のドレスは、すごく顔なじみが良くてしっくり来た覚えがあります。

 

あと、『風と共に去りぬ』のスカーレットの白いティアードドレスは、着た瞬間「(ドレスが)かわいい!!」の声が止まりませんでした。

 

 

 

 

 

 

次に、何回か体験してみて思ったことをまとめます。

 

 

①迷ったらスタッフさんのアドバイスを聞く!!

背景や小道具、ポーズや商品にする写真のカットなど、体験中には何度も選択に迫られる場面があります。

 

「絶対このポーズがいい!」「絶対シャンシャンを持つ!」といった断固たる意志がある場合は別ですが、そうでない場合はスタッフさんにアドバイスを求めるのがよきです。

 

客観的な視点で、見栄えよく美しいものを薦めて下さいますよ~!

 

 

 

②体験には誰かを連れていく!!

スタッフの方がめちゃくちゃ話しかけたりほめてくださったりするので、もちろん一人での体験でも十分楽しめます。(自己肯定感MAXになりました)

 

ですが、友人が付き添ってくれた時は、一人の時よりもさらに楽しかったです~

(盛り上げてくれて、ありがたい友達だった…)

 

あと私の場合、一人だとスタッフさんに話しかけまくってしまったので←、すごく申し訳なかったです(反省)

 

 

メイク中や着替え中はNGですが、撮影風景は見学ができるので、友人や家族などを連れて行くのが、テンションアップのためにもよいかと思われます(笑)

 

(そしてヅカヲタのみなさま、もし付き添いをお願いされたら、ぜひぜひ行ってあげてくださいませ~)

 

 

 

③スターさんとのツーショットを作ろう!!

撮ったお写真は様々な商品にできますが、一番おすすめなのは、スターさんとのツーショットです✨

 

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僭越ながら、世紀の色男さまとのツーショット♡

(このお写真、自分史上最高に綺麗に撮ってもらえているので、マジで遺影にしたい…)

 

隣に来るスチール写真は、最新の大劇場公演とその一個前の公演のものから選べました。

2020年3月時点で言えば、月組さんは『I AM FROM AUSTRIA』と『クルンテープ』のものから選べるといった感じです。

 

 

また、ジェンヌさんが卒業された日以降は、その方とのツーショットが作れなくなってしまうので、注意が必要です💦

美弥さんの場合だと2019年6月9日ご卒業だったので、慌ててそれまでに作りに行った思い出があります。

 

 

そして、お衣装とタイミングが合えば、まるでお相手役を務めている()かのような写真も作ることができます~!!

 

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ちょうど月組で『エリザベート』が上演されたので、シシィのお衣装で美弥フランツ様とツーショットを作りました⭐

このために、二回目の鏡の間のドレスを着ました←

(めちゃくちゃすれ違い夫婦な感じになってしまった…)

 

 

 

 

 

 

複数人での撮影は経験したことがないので、今度はロミオとジュリエットやパレードのコンビなど、対になるものをやってみたいなと目論んでおります。

 

 

 

 

 

もう本当に夢心地で、楽しくて、胸の高鳴りが止まらなくて…

胸を張ってお勧めできる、素晴らしい体験です❤

特にお衣装好きな方なら、テンション爆上がりだと思います。

 

コロナウィルスの影響により、残念ながら現在は営業しておりませんが、再開されたらぜひぜひ体験をご検討くださいませ~!!!!!!!!!

 

 

 

ああ、書いていたらまた行きたくなってきた…(禁断症状)

 

 

 

 

 

 

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【ヅカヲタクッキング】柚香光さんの鶏肉マーマレード

こんばんは!

今回はお料理記事です。

 

作ったのは…鶏肉のマーマレード焼き

f:id:Natsu3ichi:20200129231407j:plain

 

以前、宝塚GRAPH 2016年12月号

宝塚GRAPH(グラフ) 2016年 12 月号 [雑誌]

宝塚GRAPH(グラフ) 2016年 12 月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝塚クリエイティブアーツ
  • 発売日: 2016/11/19
  • メディア: 雑誌

 

を読み返していた時のこと。

柚香光さんが本科生時代に、鶏肉をマーマレードに漬けたものを、瀬央ゆりあさんと食べていたというエピソードを発見しまして。

世界一顔のいいクリスマスツリーと、世界一顔のいいスノーマンがいる、あのページです)

 

鶏肉のマーマレード漬け…

美味しそうなものセンサーが反応した私は、さっそくそれを作ってみました。

今回は【ヅカヲタクッキング】と題しまして、柚香さんと瀬央さんが食べていたものはいったいどんなものであったか!?を解き明かしたいと思います。

 

 

まずは、GRAPHの記事を詳しく見ていきましょう。

柚香さんが仰るには、

 

鶏肉をマーマレードと醤油で漬けるだけ‼超簡単♡ 

 と。

 

なので、用意するものと致しましては、

・鶏肉

マーマレードジャム

・醤油

の3つですね。

 

次に、詳しい分量について。

マーマレードと醤油は同じ分量で、肉が浸るぐらい!

 

とのことなので、実際に作ってみて実感したことも併せますと、材料と分量は

 

鶏もも肉・・・食べたい分だけ

(私はいつも、焼き肉用にそぎ切りにしてあるものか、角切りのものを使います。)

マーマレードジャム・・・肉が浸るぐらい

(大量に使うので、私はいつも売り場で一番安いものを買いますし、実際にそれで十分だと思います。)

・醤油・・・肉が浸るぐらいで、マーマレードと同じ分量

 

という感じでしょうか。

 

 

 

そして、重要な作り方について。

 

①鶏肉をマーマレードと醤油で漬ける。

トレーではなくポリ袋で漬けると、後片付けも楽でおすすめです。

 

②冷蔵庫でしばらく置いておく。

柚香さんのお好みに沿った形で作る場合、前日の夜から漬けておきます。

今回初めて一晩置いてみたのですが、味がしみ込んでいてとても美味しかったです~!

 

お急ぎの場合は、30分漬けただけでも十分オッケーです。

15分漬けただけでは少し味が物足りなかったので、最低でも30分漬けることをお勧めします。

 

③焼く。

漬けた鶏肉を焼いていきます。油はひかなくても大丈夫です。

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ここで、鶏肉だけをフライパンに入れると鶏肉のマーマレード焼きに、漬けた醤油やジャムも一緒に入れると鶏肉のマーマレードになります。

お好みでどうぞ。(私は焼きのほうが好きでした。)

 

ちなみに、「漬ける時も焼く時も、皮が下のほうが美味しいかも」とのことです。

 

④盛り付ける。

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(この写真は今日作ったものなのですが、濃口醬油で一晩漬けこんだからか、肉がめっちゃ茶色い…でも味は抜群でした!)

 

柚香さんのお好きな白米とともに、頂きましょう!!!!!

 

 

余談になりますが、お気に入りのお茶碗。

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父が偶然選んだのがすみれ柄で、もらった時とてもうれしかったことを覚えています。

 

 

いかがでしたでしょうか?

柚香さんが仰る通り、作るのもとっても簡単。

甘酸っぱくて、とても美味しいお味です。

 

皆さんもぜひぜひ、作ってみてくださいね。

 

 

 

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スタイルと補色、『ファントム』エリックのお衣装あれこれ。

明けましておめでとうございます🌅

今年も本ブログを、どうぞよろしくお願い致します。

 

 

新年一発目の今回は、ちょうどスカステで放送されるということで、『ファントム』を取り上げます✨

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いや、2018年の公演は、望海さん・まあやちゃんの歌声が本当に素晴らしくてですね…

 

月組以外のBlu-rayは基本的に買わない、としていたのですが、あまりの完成度の高さに、この公演は思わずBlu-rayを買ってしまいました。

 

今回はその中でも、主人公であるエリックのお衣装について、①衣装のスタイル ②補色という、二つの観点から書いていきたいと思います。

 

 

 

①衣装のスタイルから見る、エリックの異様さ

 

まず、エリックのお衣装のスタイルについて。

劇中でエリックは様々なお衣装を着ますが、特に印象的なのは、ポスターにも登場し、メインビジュアルにもなっている紺のお衣装でしょうか。

 

 

雪組宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』 [Blu-ray]

雪組宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 宝塚クリエイティブアーツ
  • 発売日: 2019/02/12
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

このお衣装は、コート(ロング丈の上着)・ウエストコート(ベスト)というパーツから、18世紀中頃のフランスの、男性の宮廷服スタイルが原型であると思われます。

(例)https://www.kci.or.jp/archives/digital_archives/1700s_1750s/KCI_008

 

 

…ところで、『ファントム』の舞台は、一体いつごろなのでしょうか?

 

 

 

それを解き明かすために、次はクリスティーヌのお衣装に注目します。

 

《パリのメロディー》が歌われる時のお衣装をはじめとして、クリスティーヌのお衣装は、お尻の部分が後ろにぽこんと膨らむ、バッスル・スタイルが中心です。

(例)https://www.kci.or.jp/archives/digital_archives/1870s_1880s/KCI_105

 

このスカートの形が流行した年代から、『ファントム』の舞台は1870-80年代であると推測できます。

 

 

 

そう思うと、エリックが着ている服のスタイルって、『ファントム』の時代より100年も前の、すっごく昔の流行遅れのものなんですよね。

 

特に1789年のフランス革命以降、男性のスタイルは華やかさを失い、どんどんシンプルな物へと変化していったので、『ファントム』の当時を生きる人からしたら、100年も前の時代遅れなスタイルで華やかに着飾ったエリックの姿は、とても異質なものに見えたと思われます。

(地上に住むキャリエールやシャンドン伯爵と比べても、その服装の違いは明らかなはずです。)

 

 

 

また、エリックはオペラ座の地下に住み、地上の世界とは隔絶して生きていた人物であり、彼は地下で育ったゆえ、地上の人々とは何か違った雰囲気を醸し出していたことは明らかでしょう。

 

そして、(エリックの服が100年前のものなのか、はたまた当時を再現した舞台衣装なのかは分かりませんが、)

地下で暮らすエリックが放つ、当時の地上の世界とは隔絶された異様な雰囲気は、このような流行遅れのスタイルのお衣装も、一つの要因なのではないでしょうか。

 

 

 

②補色効果で引き立て合う、赤と緑

 

次に、カルロッタ殺害〜森のシーンのお衣装について。

 

 ここで注目したいのは…その色。

燃え盛る炎のような、真っ赤なお衣装をエリックは着ています。

 

カルロッタ殺害のシーンでは、エリックの中にある激しい殺意がお衣装の色で表現されているとも言えるでしょうか。

 

そして(上着は脱ぎますが)カルロッタを殺害したその服のまま、エリックはクリスティーヌの元へ向かいます。(この時点で既にヤバい感じもしますが)

 

領地(地下に作った人工の森)を見せるために…

 

 

ここでのエリックのお衣装は、

そして、森の

 

この赤と緑という2色は色相環で正反対に位置し、補色という関係にあります。

 

ja.m.wikipedia.org

 

 

そして、

補色同士の色の組み合わせは、互いの色を引き立て合う相乗効果があり、これは「補色調和」といわれる。(上記wikiより)

 

 

つまり、赤と緑はお互いを引き立て合う効果があり、森の緑によってエリックの赤が目立ち、またエリックの赤によって、森の緑もまた引き立っていると考えられます。

 

 

そして、この「赤」と「緑」の補色効果により、このシーンにおける「エリックの狂気」「赤のイメージとは正反対の、エリックの悲しみや孤独感」、そして「人工の森が持つ虚しさ」といったようなことが、より際立っているのではないでしょうか。

 

 

 

以上、エリックのお衣装に関するあれこれについて考えてみました。

そう思うと、お衣装の形や色って、ただ綺麗だからとかで選ばれてることは無くて、きっと何か意図があってのことなんですよね。

 

 

「全ての演出には意味がある」と、何かで思った記憶があります。

これからも細かいところに目を向けて、観劇していきたいです!

 

 

 

 

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