『パッション・ダムール』感想/各シーンはどの作品から?
みなさま、お久しぶりです!
先日、凪七さんのコンサート
『パッション・ダムール−愛の夢−』を観劇してまいりました🥰
岡田先生のロマンチック・レビューが大好きな私にとってまさに垂涎ものの構成で、
「大好きなあの名場面が目の前に…!!!」と、本当にこれ以上なく幸せな観劇となりました♥
ところでこのコンサートの各シーンは、具体的にはどの作品から引用されているのでしょうか?
自分用のメモも兼ねて、今回はこの点について深掘りしていきたいと思います✨
また、感想も併せて。
【第1幕】
第1章 〈プロローグ〉
テーマ曲の「パッション・ダムール」は、今回のために作られたオリジナル曲です。
−間奏曲Ⅰ−
凪七さんが歌われた「DRIFTER IN THE CITY」は、『ダンディズム!』(1995年・花組)より。
この曲はその後『シトラスの風-Sunrise-』(2018年・宙組)において、星条さんが歌っておられました。
第2章 〈アディオス・パンパミーア〉
鞭を使ったダンスが痺れるこのシーンは、『ネオ・ダンディズム!-男の美学-』(2006年・星組初演)より。
湖月わたるさんのご卒業公演ということもあり、サヨナラ色の強い場面でした。
−間奏曲Ⅱ−
有栖さんと莉奈さんが歌われた「Ramona」は、『Amour それは…』(2009年・宙組初演)で使われた曲です。
羽扇を使った優雅な雰囲気にうっとり💕
この曲で、妖精の世界に誘われ…
第3章 〈妖精の森〉
凪七さんがリアルプリンス!なこのシーンは、前のシーンと同じく『Amour それは…』より。
パステルカラーに包まれた、私の大好きな甘い甘い夢の世界がそこにありました…💞
ベタですが、とびきり素敵な男役さんが、とびきりかわいい娘役さんと出会って、そして恋に落ちる…そんなシーンが大好きなんですよね。
−間奏曲Ⅲ−
天月さん・叶さん・汐聖さんが小粋にキメる「You and the night and the music」は、『ダンディズム!』より。
こちらもその後、『ネオ・ダンディズム!-男の美学-』で歌われました。
第4章 〈愛の誘惑〉
テンションが爆上がりだったこの一連のシーンは、『ル・ポァゾン-愛の媚薬-』(1990年・月組初演)より。
真緑のピンスポットを浴び、まずは縣さんが青い林檎を持って妖しく歌います。
そして林檎がぶん投げられた後は、「ザ・男役!」というような、もの凄く男くさいスーツでのダンス。
「この振付!やっぱりこういうコテコテなのが好き~💖」と、血が滾りました。
−間奏曲Ⅳ−
前のシーンとは打って変わって、爽やかに登場した叶さん。
『シトラスの風Ⅱ』(2014年・宙組)、『シトラスの風Ⅲ』(2015年・宙組)で使われた「Smile」を歌われました。
曲の雰囲気と歌い方、そして笑顔がとてもマッチしていて、肩の力が抜けてこちらも微笑んでしまうような空気感に、劇場が包まれました。
第5章 〈ALL BY MYSELF〉
メッセージ性が心に響くこのシーンは、『ナルシス・ノアール』(1991年・星組初演)より。
学年を重ねられた凪七さんだからこそ、ハマるシーンだったと感じました。
【第2幕】
第6章 〈ハードボイルド〉
パキッとした白黒ストライプのスーツに身を固めた、眞ノ宮さん・縣さんのタンゴから始まるこのシーン。
こちらはロマンチック・レビューを語るうえでは欠かせない、『ダンディズム!』の名場面です🌟
ここの眞ノ宮さん、とってもけしからん感じの前髪でして…
(いいぞもっとやれ)(はらはら靡く前髪が大好物)
とにかく皆さんがかっこよすぎて、息が詰まりそうなシーンでした!!!!!
こちらの「PARADISO」という曲は、『ネオ・ダンディズム!-男の美学-』、
そして『シトラスの風-Sunrise-』にも受け継がれました。
−間奏曲Ⅴ−
可愛らしいフリフリのお帽子スタイルで、清らかで澄んだ歌声を披露して下さった有栖さん。
曲は同じく『ダンディズム!』より、「仙女の祈り」です。
有栖さんのご活躍が、もっともっと見たいなと思う今日この頃です。
第7章 〈学生王子(GOLDEN DAYS)〉
このシーンはロマンチック・レビュー・シリーズからは外れますが、同じ岡田先生の作品である『タカラヅカ・グローリー』(2004年・雪組)からの引用です。
士官と令嬢という、とってもタカラヅカらしい組み合わせでございました。
−間奏曲Ⅵ−
しっとりと美声を聞かせて下さった、天月さんと千風さんのコンビ。
このシーンは、『シトラスの風』(1998年・宙組)、『シトラスの風Ⅱ』、『シトラスの風Ⅲ』からの引用でした。
−間奏曲Ⅶ−
ここで使われた「She」は、『Amour それは…』で蘭寿さんが歌っておられました。
縣さんの伸びやかなダンスが、とても印象に残るシーンでした✨
第8章 〈愛の歌〉
ここで歌われた「愛の歌」は、リサーチ不足で申し訳ないのですが、どうやらタカラヅカの名曲であることは間違いないようです。(おい)
分かり次第追記します~!
(熱愛のボレロと混じる…)
以上、本編の各シーンがどの作品から引用されたかをまとめてみました。
丁寧に探したつもりではありますが、抜けや間違いがあったらすみません💦
まさに『ザ・ロマンチック・レビュー』ともいうべきな構成。
どのシーンも名場面ばかりで、岡田先生のファンとして、そして宝塚ファンとして、本当に大満足の公演でした。
また、第〇章と間奏曲が交互に来る構成に、あぁ、岡田先生のレビューだなぁと思ったり。
とにかく岡田先生、本当にありがとうございました♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
これからも先生の作品を観劇できること、心より楽しみにしております!!
個人的には大変マニアックですが、
凪七さん、11年越しに『Amour それは…』に出演!?
という感想が残りました(笑)
と言いますのも、凪七さんは当時『エリザベート』に出演しておられて、アムールには出演されずだったのです。
また、今回はプロローグの娘役さんのお衣装が夢・アモールのシーンで使われていたものだったし、同じシーンの曲も歌われていたし、妖精のシーンもラモーナのシーンもsheも引用されてたし、で、けっこうアムール成分が多めだったなと思いました😂
10月25日(日)14時半からは、この公演のライブ配信もありますね!
タカラヅカファンの皆様に、全力でおすすめしたい公演です!
そして、優美で華やかなロマンチック・レビューの世界に浸り、ひとときの安らぎになること間違いなしです💚
ロマンチック・レビュー・シリーズの、『シトラスの風』に関する記事はこちら!
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AfO 一座のチラシを読む!
こんばんは!
今回はフランス語シリーズ第3弾、
月組『All for One』より、ビゴー一座のチラシを読んでみたいと思います⚔
(例に違わず、バリバリ意訳が入っております)
まずはこちら、『反撃の巨人 タイタン』のチラシですね。
①
ビゴー一座
②
『反撃の巨人 タイタン』
(直訳は、「巨人たちの反撃」)
③
登場するのはポルトスだ!
誰が演じるのかまでポスターに書かれていたのですね。
さすが、子供たちに人気のポルトス先生。
(子供たちと触れ合う暁さん、マジでかわいかったな…)
④
この作品は面白い
おもろいらしいです。はい。
まぁ、宝塚のポスターにもよくある「最高に楽しい物語!」みたいなキャッチコピーなのでしょうね。
次に、訂正版のチラシに移ります。
こちらは『反撃の巨人 タイタン』が✕され、
仮面劇『双子の騎士』と訂正されています。
この二枚は、お芝居を見ていれば分かるような内容が殆どでしたね😅
個人的に気になったのが、②の『反撃の巨人 タイタン』の表現です。
チラシでは「La Contre-attaque des Titans」、つまりタイタンが複数形になっていることが分かります。
まさか、暁さん以外にもタイタンが・・・!?
手持ちの写真で読めそうなものは今回で以上なのですが、また新たに入手できたら解読を進めたいなと思います!
読んで下さって、ありがとうございました🌟
他のフランス語読んでみたシリーズはこちら⇓
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【ヅカヲタクッキング】紅5のポトフ
こんばんは!
今回はヅカヲタクッキングの第2弾、紅5のポトフです⭐
第1弾はこちら⇓
もはや伝説となっている紅5のポトフ回…。
(※正式名称:Brilliant Dreams +NEXT#2「紅ゆずる」)
一年半ほど前、友達とこの番組を見ていた時に、
「これを再現したら面白いのでは!?」
と思い、ノリでやってみたクッキングを今回記事にしました。
もちろん一人でも問題ないのですが、ヅカヲタの友人やご家族と一緒に作ったら、より楽しめること間違いなしです。
(5人集まって、役を割り振ったらさらに楽しめそうだな…)
さて、紅5に倣ってまずは買い出しから行きました。(重要)
買い物メモは以下です。(もちろんお好みに合わせて具を調節するもよし)
【壱城&如月チーム】
☆ポトフに使うもの
・人参
・アスパラ
・玉ねぎ
・キャベツ
・パプリカ
・ジャガイモ
・大きいトマト
・しめじ
・ウィンナー(フランクがおいしい by売り場のおじさん)
・鶏もも肉
・固形コンソメ
☆サイドメニューに使うもの
・例の飲み物(コ〇・コーラ)
・牛乳
・某混ぜるだけのデザート・イチゴ味(〇ルーチェ)
【美弥&天寿チーム】
☆ポトフに使うもの
・キャベツ
・人参
・ジャガイモ
・天寿さん一押しのプチトマト(美弥さんはおっきいトマト派)
・玉ねぎ
・しめじ
・ウィンナー
・ブロックベーコン
・固形コンソメ
☆サイドメニューに使うもの
・さくらんぼ
・リッツ
・生ハム(ロース)
・マーガリン
・とろけるスライスチーズ
・デザートホイップ
・フランスパン
・乾燥パセリ
・シュワシュワ系の飲み物(〇ーダ)
(番組の中から書き出しただけなので、間違っていたらすみません…)
また、間違って春雨やほんだしをカゴに入れないように注意です。
それでは、調理に入りましょう。
どちらのチームとも、基本的な作り方は同じです。
切った具材を、水とコンソメで煮込むだけ。
コンソメの量は、パッケージに書いてある【水〇mlに対しコンソメ〇個】に従えばよいかと。
ただ、具材の切り方がかなり紅5流なので、そこはぜひ取り入れていきましょう。
【ジャガイモ】
・天寿さん:芽を取るときは、「よく見て~♪」(エリザ風)
・如月さん:小さじの計量スプーンで丸くくりぬく。
【人参】
・美弥さん:♥型や✿に。
【玉ねぎ】
・天寿さん:輪切りの半分。
【ウィンナー】
・壱城&如月:タコさんウィンナーにして、初舞台生を表現。
また、サイドメニューも忘れずに✨
【壱城&如月チーム】
・〇ルーチェを作る。(計量カップを使いましょう)
【美弥&天寿チーム】
・フランスパンをスライスしたものを二枚用意。
一枚はとろけるチーズと細かく刻んだベーコンを載せ、加熱する。
もう一枚は生ハムを載せ、乾燥パセリを散らす。
・リッツにホイップを絞り、さくらんぼやドライトマトを載せる。
飲み物は◯ーラと◯ーダを、グラスに注いでおきましょう。
そして、完成~!!!!!
この時は各チームの折衷型で作り、初舞台生や♥の人参、丸くくりぬいたジャガイモなど、ネタを詰めるだけ詰め込みました。
またサイドメニューには、チーズを載せたフランスパンと〇ルーチェも。
そして✿の人参を作るときに閃いて、謎の拙い飾り切りも登場しました。
いかがでしたでしょうか?
フリーダムでランダムな紅5の皆さんのお姿は、何度見ても笑ってしまいます。
皆さんに倣って料理をし、美味しいポトフを食べたら、とっても元気になれそうですね🎶
ちなみに、トマトは入れませんでした(爆)
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愛革*ドレスのここがミソ!
こんばんは🌷
今回取り上げる作品は、花組の『愛と革命の詩』です!
植田景子先生のお耽美な世界観がバリバリに生きた作品。
美しいラヴシーンも必見ですが、お衣装に関してぜひ見て頂きたいなと思ったポイントがあるので、今回はそれを紹介します~💕
そのポイントとは、ずばり冒頭のマッダレーナのお着替えシーンです!
蘭乃さん演じるマッダレーナは、物語のヒロイン。
「ワルツ・ガヴォット・メヌエット~♪」と歌う彼女は、どうやらお着替え中の様子なのです。
その様子をじっくり観察すると、
①最初はノースリーブのお姿で登場し、
②途中何やら七分袖の上着のようなものを羽織り、
③そしてドレスへのお着替えが完了する
となっています。
実はこの過程、服飾史好きにとってはかなり注目ポイントなのです!!!
詳しく説明しますと、まず当時のドレスは今のように一枚のワンピース型にはなっておらず、幾つかのパーツに分かれていたことが挙げられます。
Getting dressed in the 18th century
こちらは当時のお着替えを再現した動画なのですが、
ドレスが三角の胸当ての部分(ストマッカー)とスカート(ジュップ)、そして袖と身頃・オーバースカート(ガウン)の3つに分かれていることが分かります。
ここで、改めて作品における描写を見てみましょう。
①のマッダレーナの姿は、動画の4:50~(コルセットにストマッカーを付け、ジュップを着けた状態)と似ています。
そして②で上着を羽織ったように見えたのは、ガウンを着る工程であったと考えられます。
ストマッカーとコルセットが若干同化しているなど、完璧に再現!とまでは言えませんが、
マッダレーナのお着替えの描写は、服飾史的にかなりリアルに迫ったものではないかなと思います。
以上、大変マニアックな鑑賞ポイントでした🥰
ついでに愛革の好きなポイントを羅列。
・ロココ祭りなお衣装
・蘭寿さんの高貴な雰囲気
・ブロンドヘアーにパステル調のメイクがとっても似合ってる蘭ちゃん
・明日海さんが井戸に見立てたセリを使うところ
・DVD鑑賞中に「この人かっこいい!」と呟いたら、隣で見てた友達に「この作品で卒業したよ」って言われた春風さん
・柚香さんのヴィジュアルが神、ゾクゾクしちゃう
・望海さんの麗しい鬘、特に縦ロールと髪色
・白いラヴシーンが最高!!!!!
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『舞音』の手紙を読む!
こんばんは🌙
小道具のフランス語を読んでみたシリーズ、第2弾です!
第1弾はこちら⇓
今回読むのは月組『舞音』より、龍さん演じるシャルルに宛られてた手紙です。
差出人は、パリに住む彼の母親です。
(凪七さん演じるクリストフが、「理性と感情~♪」を歌う直前に読まれる手紙です。)
それではさっそく行ってみましょう。
(例に違わず、バリバリ意訳が入っております…)
①
あなたはまだ結婚していないの?
文の途中とはいえ、ズバッと言いますね~お母さま。
②
誰かいい人はいないの?
③
でも、その娘との結婚に関して言えば、私は反対しています。
④
きちんとした家の娘と結婚しなさい。
③-④がちょっと分からないんですよね、、、
お芝居の中でシャルルは、手紙の内容に関して
「(早乙女さん演じる)カロリーヌとの婚約がどうなったか、そればかり」
と言っており、彼の母親は彼女との結婚を促していることが分かります。
なので③の「その娘」は、カロリーヌには当てはまらないかと。
大変無理やりな解釈ですが、例えばマノンとの色恋沙汰がパリまで伝わっていて、お母さまがそれに釘を刺したとか…?
分からん…
⑤
あなたの結婚に関して、早く私を楽にさせて下さい。
⑥
孫の顔を見せることが最優先です。
(時代的にしょうがないけど)もう!ハラスメントの極み!!
⑦
いつ、その子(=子供)を連れて戻ってくることができるの?
ここの地味に恐ろしい所として、子供が「le」=男性名詞となっており、奥さんが男の子の跡取りを産むことが当然のように書かれていることが挙げられます…
(しかし倒置が起きまくっているため、いまいち自信がない)
⑧
お願いだから、頻繁に連絡を下さい・・・(以下切れていて読めず)
いかがでしたでしょうか?
結婚ハラスメントが凄くて、読んでいて正直辛かったです(´;ω;`)
こんな風に、貴族の長男としてあるべき姿をずっと期待されていたら、息が詰まってしまうのも当然かもしれませんね…。
シャルルの気持ちが少し分かった気がします。
お読みいただき、ありがとうございました😊
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ちゃぴルイーズ、「ブロンド」の謎。
月組『All for One』に迫る第二弾です🌙
(第一弾はこちら⇓)
今回は愛希さん演じるヒロイン・ルイーズについて!!
男役/娘役の演じ分けや優雅なバレエなど、彼女に関して見どころは沢山あると思うのですが、個人的に大好きなのが「♪もし私が女の子なら」が歌われるシーンです!
ワクワクしながらドレスアップをしている愛希さんのお姿がもう、ほんっとうにかわいいんですよね~💕
ところで、曲の中でルイーズは
「ブロンドかブルネット、ストロベリー」
と歌っており、実際にこの3種類のウィッグ(かつら)を出しています。
(これも大昔に描いた。)
でも、実際に選ぶのはいつもブロンドのウィッグ。
観劇するたび、
「ここ、日替わりでウィッグの色が変わったら面白いのにな~」
「ブルネットやストロベリーのちゃぴちゃんも見たいな~」
と思っていました。
そこで、ルイーズがブロンドのウィッグを選ぶのはなぜ?
という謎に自分なりに迫ってみたので、今回はそのことについて書きます!!
1.『All for One』と『リボンの騎士』
結論を先に言いますと、この謎には漫画『リボンの騎士』が深く関わっていると考えられます。
そもそも『All for One』は、『リボンの騎士』抜きには語れない作品であるというのは明らかでしょう。
小池先生は公演プログラムの中で、以下のように語っておられます。
三銃士といえば「鉄仮面」ルイ14世の双生児入れ替え話が有名である。この双子が男女だったとして、ヒロインは王を演じさせられている王女だったら子供のころ読んだ「リボンの騎士」みたいで面白いのではないかと思った。手塚治虫の宝塚へのオマージュ作品に対する、私からのオマージュである*1。
『リボンの騎士』は手塚治虫先生の作品ですが、そこには宝塚歌劇団の影響がたくさん見られるというのは、よく知られていることと思います。
小池先生はそのオマージュ返しといいますか、そういった形でこの作品を作られたようで。
つまり『All for One』は、『リボンの騎士』へのオマージュ作品でもあるというわけですね。
※オマージュ:芸術家などへの尊敬、敬意。あるいはそうした思いを捧げた作品。
2.『リボンの騎士』について
次に、『リボンの騎士』はどのような物語であるかについて確認しましょう。
まず大大大前提として、主人公のサファイヤは男として育てられた王女であるということが挙げられます。
サファイヤはある国の王女として生まれるが、国の掟では、王女は王位につけない。(中略)国王と側近はサファイヤを王子として育てることにする*2。
また、物語の中では様々なエピソードが展開しますが、注目したいのはサファイヤの恋模様です。
そんなある日、サファイヤはあまいろの髪の乙女に変装して復活祭の舞踏会に出かけ、そこで隣国の王子・チャーミングに出会い恋をする*3。
まとめますと、『リボンの騎士』の
・男として育てられた王女が
・女の子の姿に変装して恋をする
という点が、今回の謎を解くカギになってきます。
3.ルイーズとサファイヤ
「男として育てられた王女が」「女の子の姿に変装して恋をする」…
あれ、この展開どこかで見たような??
と、ヅカファンのみなさまはもうお気づきでしょう。
1で『All for One』は『リボンの騎士』のオマージュ作品でもあるということを確認しましたが、『リボンの騎士』のこれらの点は、そのまま『All for One』に用いられているのです。
まずヒロインのルイーズは、ルイ14世つまり男として育てられた王女でしたよね。
また『All for One』は、ルイーズが「もし私が女の子なら~♪」と歌って女の子の姿に変装し、居酒屋で再会したダルタニアンに恋をするという展開となっています。
そして上では触れていませんが、
「私だって晴れ着を着たらみんなくらいきれいになるのに……」
「私もあんなドレスを着てみんなと踊りに町へ行きたいわ」
と苦悩するサファイヤの姿には、
「ああ、髪を伸ばしてみたい…」
「お洒落をしたい だって私本当は 女の子に生まれているの」
と口にしたルイーズの姿が重なるような気がします。
⇓ そのセリフがあるコマが見られます。
そして舞踏会での出会いの場において、サファイヤは正体を明かさぬまま王子の元を去ってしまうという展開なのですが、これも「氏素性を明かさぬまま、ダルタニアンの元を去ってしまうルイーズ」という形で投影されていますよね。
(そしてあの伝説の壁ドンシーンが生まれた・・・💞)
4.亜麻色の髪の乙女
以上より『All for One』には、『リボンの騎士』の設定や展開が、オマージュとして取り入れられていることが分かりました。
よって登場人物であるサファイヤはルイーズと、そしてそのお相手であるフランツ・チャーミング王子はダルタニアンとも置き換えられるでしょう。
さて、サファイヤは女の子の姿に変装する際に、ロングヘアのかつらをかぶっていました。
そしてフランツ王子はその姿のサファイヤに恋をするのですが、髪の色から彼女を「亜麻色の髪の乙女」と呼び、その面影を忘れられないでいました。
ここでフランツ=ダルタニアンだとするならば、
『All for One』においてダルタニアンが恋に落ちるのも、「亜麻色の髪の乙女」でないといけないわけです。
亜麻色はこんな色なのですが、たしかにルイーズのブロンドのウィッグもこんな感じの色ですよね!!
厳密には亜麻色の髪≠ブロンド(金髪)なのですが、実際には一緒くたにされることが多いようです。
また、カラーの「亜麻色の髪の乙女」の髪色は黄色で塗られており、ブロンドと言っても差し支えないのではないかなと思います。
⇓ 亜麻色の髪の乙女姿で、フランツと見つめ合うサファイヤのカラーカットが載っています。
5.おわりに
以上より、『All for One』が『リボンの騎士』のオマージュ作品であることを前提とした上で、ルイーズの選ぶウィッグがブロンドなのは
『リボンの騎士』に登場する「亜麻色の髪の乙女」の影響があるから
ではないかなと考えました。
オマージュ元である『リボンの騎士』を読めば、『All for One』をより楽しめること間違いなしだと思います🎀 🌞
また大劇場の近くにある手塚治虫記念館には、『リボンの騎士』はもちろんのこと、先生の作品が全て読める夢のようなライブラリーが併設されています。
観劇に合わせて、ぜひぜひ訪れたいスポットですね!!
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武蔵が彫った仏像とは?
こんばんは🌙
劇中では、珠城さん演じる宮本武蔵が仏像を彫るシーンがありました。
実は一口に「仏像」と言っても、そこには沢山の種類があります。
そこで今回は、
・武蔵が彫った仏像はいったいどんなものなのか?
・そこから見えてくることはあるのか?
について語りたいと思います✨
1.仏像の種類と形式
とりあえず、大学の博物館実習の授業で使った、「仏像の種類と形式」というプリントを引っ張り出してきました。
それによるとまず、仏像は大きく4種類に分けられるそうです。
①如来
まずは如来について。
如来とは、悟りを開いたものです。
そのため像には、悟りを開いた証である三十二相八十種好(さんじゅうにそうはちじっしゅこう)があります。
具体的には、長い髪が一本一本まとまった螺髪(らほつ)や、頭の肉が盛り上がった肉髺(にっけい)などがその証です。
また身体にアクセサリーはつけておらず、俗世の迷いや欲をすべて捨て去った姿をしています。
そして釈迦如来・阿弥陀如来・薬師如来など、如来の中にも様々存在します。
②菩薩
(星組の『GOD OF STARS-食聖-』では漣レイラさんが日光菩薩を、ひろ香祐さんが月光菩薩を演じていらっしゃいましたね~!)
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次に菩薩について。
菩薩とは、悟りを開くために修行するものです。
「如来と人間の間」ともされます。
菩薩も如来と同じように、一見頭が盛り上がっているように見えますが、菩薩の盛り上がりはただ髪の毛をまとめているだけだそうです。
また、瓔珞(ようらく:ネックレス)や腕釧(わんせん:ブレスレット)など、アクセサリーをたくさんつけていることが一般的です。
そして、たすきのような条帛(じょうはく)や、ショールのような天衣(てんね)といった、ひらひらした衣服をまとっています。
如来と同じように、文殊菩薩・弥勒菩薩・地蔵菩薩など、菩薩の中にも様々存在します。
③明王
例:東寺 不動明王坐像
明王は密教*1における尊格及び称号で、怒りの表情が特徴です。
その中でも有名なのが不動明王で、手には宝剣や絹索(けんさく:縄)といった武器を持っています。
④天部
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最後に天部について。
天部は、古代インドの神々が仏教に取り入れられたものです。
武装した姿の四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)や、女性の吉祥天・弁財天などが挙げられます。
2.左の仏像:弥勒菩薩
仏像について少し詳しくなったところで、ここからは実際に武蔵が彫った仏像を見ていきましょう!!
まず、一番左の仏像についてです。
みなさんは、歴史の教科書や資料集で、これと似たような仏像を見た覚えはないでしょうか…?
…そう、こんなものを。
特徴的なポーズから、一番左の仏像は弥勒菩薩であると推測できます。
3.右の仏像:不動明王
次に、一番右の仏像について。
怒りの表情や、手に剣と縄を持っている点から、一番右の仏像は不動明王であると推測できます。
4.真ん中の仏像:菩薩だけど…
さて、残るは真ん中の仏像。
螺髪ではなくお団子ヘアーであるという点や、アクセサリーをたくさんつけている点、そして条帛や天衣を身にまとっているという点から、この仏像が菩薩であることは間違いなさそうです。
問題は、菩薩の中でも何菩薩であるかということ。
色々調べてはみたものの、残念ながら私の力ではよく分からず…
そこで仏像に詳しい方に聞いてみたところ、「菩薩ではあるが、何菩薩とまではっきり断定できる要素がない」とのことでした。
なので、「この仏像は菩薩である」というのが結論になります。
(今回教えていただいたことにより、長年のモヤモヤが消えたので、感謝感謝です…<m(__)m>)
5.仏像の種類から言えること
以上、3つの仏像が一体どのような種類のものであるかが明らかになりました。
劇中にはもう一つ、珠城さんが実際に彫っていた小さな仏像がありましたが、これはフォルムからして地蔵菩薩かなと思っています。
(写真撮り忘れました。。。)
(地蔵菩薩は、所謂「お地蔵さん」です。)
それも含めると、武蔵が彫った仏像は
菩薩:三体
明王:一体
と整理できます。
注目すべきことに、彫った仏像のなかで如来は一体もなく、菩薩が多くを占めていますが、これには武蔵が修行中の身であることが関係していると考えられます。
劇中では"無双"となるべく、常に高みを目指して修行を重ねる武蔵の姿が描かれていました。
また仏像を彫っているときの武蔵は、剣とは無縁の生活を送っていましたが、内心では小次郎に勝利して"無双"に達することを望んでいました。
半ばこじつけにも近いですが、仏における「悟り」=武蔵における「無双」と捉えることも可能ではないかなと思っています。
1で触れたように、如来は悟りを開いたもの・菩薩は悟りを開くために修行するものでした。
よって、「命奪った者たちの供養ともなれば」と武蔵は仏像を彫っていましたが、
・仏像の中に如来がないのは、武蔵がまだ"無双"の域に達していないこと
・菩薩は、武蔵が"無双"に達するために修行中であるということ
を示していたのではないでしょうか。
また不動明王は、修行者を見守るものであるとされています。
武蔵が選んだ修行の道も厳しいものでしたが、それを見守る役割として、不動明王が登場していたのではないでしょうか。
(そして小次郎を倒してもなお、武蔵は如来になれないのであった…)
おわりに
私は西洋美術の方が断然好きなので、仏像についてはあまり詳しくありませんでした。
なので今回のブログを書くにあたっては、調べることが多かったです。
ありがとうサイトー先生…
先生のお芝居のおかげで、仏像について色々勉強になりました…
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