柚香光さんのスカート姿―男役イメージは変化するか?【オフにおける男役イメージの変遷⑭】
オフのファッションに注目し、男役イメージの変遷について論じてきた本シリーズも、いよいよ最終回となりました👏👏
今までのおさらいはこちらからどうぞ👇
⋆ちょうど一年前に、元になった修士論文を提出したところでした。
修論提出した!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! pic.twitter.com/TPEAs3tOkB
— なつみち (@Lune_ete_38) 2022年1月14日
今回は全ヅカヲタに衝撃が走った、『宝塚GRAPH』2022年1月号のあのポートレートの話をします。
(もう一年も前の号なんですよね…😅)
現代における男役ファッションの硬直性
このシリーズでは、劇団創設時から現在までの男役ファッションの変遷について、13回かけて詳しく見てきました。
特に戦後では、ミニスカートやパンタロンといった流行アイテムを取り入れて、年単位で目まぐるしく変化が起きていましたよね。
しかし21世紀に入ると、男役はスカートを頑なに着用しなくなるなど、現代の男役ファッションは硬直していると言わざるを得ないでしょう。
しかし注目すべきことに、2021年12月20日、そこに一石を投じるような出来事が起きました。
同日発売の『宝塚GRAPH』1月号のポートレートにおいて柚香光さんが、長年タブーとされてきたスカートを着用したのです…!!!!!!!!!
柚香さんのスカート姿が意味するところ
柚香さんのスカート姿…
この事例は、長い年月を経て確立されたオフの男役イメージの幅が、再び広げられようとしている試みであると考えられます。
したがってこのポートレートは変化の始まりを予感させるような、歴史を刻む新たな一枚となったと言えるでしょう。
皆さま、紙面を開いたときはたいそう驚かれたのではないでしょうか。
私ももちろんそうでしたし、修士論文を書いている途中にこのような歴史的瞬間に立ち会えて、胸が震えました。
ジェンダーレスファッションと男役イメージ
また現代はファッションにおいて、ジェンダーレスが話題となる時代でもあります。
よって柚香さんのスカート姿は、男役にもそのような新しい流れが入ってくる兆しであるとも捉えられるでしょう。
しかし、思い出してみてください。
従来の男役イメージというのは、「パンツスタイル=男」といった、衣服が持つ性差の記号を利用して作られるものでした。
性差の記号があいまいとなるジェンダーレスなファッションを取り入れることによって、今後男役イメージも変化していくのでしょうか。
それとも、現在確立したような男役イメージをこの先も続けていくのでしょうか。
以上、私の修士論文『宝塚歌劇における男役イメージの変遷――オフステージのファッションを中心に』に基づいたシリーズ記事をご覧頂き、本当にありがとうございました!!!
大変有り難いことに、読みたいとのお声を頂戴しまして、書き上げるモチベーションとなりました。
やはり研究というのは自己完結ではなく、受け手がいてこそ(=社会ありき、すなわち社会に必要とされているという研究の意義)ですので、このような形で世に出すことができてよかったです。
それと、やっぱり宝塚はエンタメとしてだけでなく、研究対象としても面白いなぁと思いました。
ただ宝塚が好きという気持ちだけで研究を始めて院進までしてしまった無鉄砲学生でしたので、研究にどう対峙していいのか分からず在学中はずっと泣いていました。
ですが、宝塚を好きという気持ちを大切にし、宝塚に関する論文を書くことによって、「宝塚はどうでもよくなんかないよ、宝塚は価値がある存在なんだよ」ということを少しでも証明できたかなと思います。
イメージのズラし/ズレ―男役の女装とファンの意識【オフにおける男役イメージの変遷⑬】
こんばんは🌛
労働が主体の生活になったり、様々なジャンルのエンタメに手を出したりした結果、本当に久々の執筆になってしまいました~😣
相変わらず宝塚には元気を頂いており、先日は『蒼穹の昴』のライビュや、朝月さんのミュサロの配信を拝見しました❄
また来月には、月組さんの全ツで遠征する予定です!
約一年ぶりの生観劇、本当に楽しみです💖
このシリーズはあと2回分残っているので、もう少し頑張って書きたいと思います💦
今までのおさらいはこちらからどうぞ👇👇
卒業後に男役がスカートを履くと絶対○○になるアレ
さてさて、⑫までのような流れでオフにおける男役イメージは形成されてきたのですが(ざっくりすぎる)、
「男役らしいアイテムを着用する」「スカートを履かない」「肌の露出をしない」といった意識をもとに男役自身が創出する男役イメージは、現代において大変強固なものであると考えられます。
それはトップスターが退団後にスカートを着用して公の場に出た際に、そのことが必ずと言っていいほど記事として上がるという例からも分かるでしょう。
例えば、こんな記事があったりとか・・
イメージの「ズラし」―男役の女装
繰り返しますが、男役さん自身は努力して隙のない男役イメージを作ろうとしておられます。
興味深いのはそれにもかかわらず、男役を取り巻く現象に関しては依然として「イメージのズラしやズレ」が存在するという点です。
まずは「ズラし」について、男役の女装を取り上げます。
オフにおいて男役がスカートを身に着けず、完全な男役イメージの演出にこだわっている一方で、女装する際にはスカートを着用することがありますよね。
気の強さやかっこいい雰囲気、パンツスタイルなどで男役の香りが残っている場合もありますが、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラのフリフリのドレスなど、中には思いっきり男役のイメージからは外れるものもあります😅
また男役に女性の役や役割をあてがって女装をさせるのは、言うまでもなく劇団側です。
このように、劇団によってイメージの「ズラし」が行われ、男役イメージが破壊されることも頻繁にありますよね。
イメージの「ズレ」―ファンは男役をどう捉えているのか?
次に、ファンは男役をどう捉えているのか?という点についても触れたいと思います。
皆さまは、ご贔屓の男役さんをどのような存在として応援していらっしゃいますか?
「とにかくお綺麗で憧れの人」「夢の実現に向けて頑張っておられる、尊敬すべき方」「いつも元気を与えて下さる方」「癒し」etc…
ここで「理想の男性」と答える方は、実際のところ殆ど居ないのではないでしょうか。
(中には、所謂ガチ恋の方もいらっしゃるかもしれませんが…)
このように、私たちはオフであっても男役にそれらしいイメージを求める一方で、決して男役を男性の代替物であるとは見ていないという、これまた面白い現象が起きていると思うのです。
アカデミックな書籍においても、ファンが男役をどう捉えているかについてはしばし言及がなされていまして…
例えばロバートソン氏は著作『踊る帝国主義―宝塚をめぐるセクシュアルポリティクスと大衆文化』において、以下のように語っておられます。
私が文献を調べ、インタビューを行ったところでは、年齢・階級・学歴の別なく、どの女性ファンも男役を理想の男とは考えていない。むしろ、女性の肉体を持ちながら因習的な男女の特性にとらわれない役の演じ手として畏敬の念を抱いている*1。
以上より、ファンは男役を理想の男性として捉えるのではなく、既存の男女にとらわれないような存在として畏れ敬っているというファンの一意識が分かります。
加えてFC内においては、それとはまた異なった形で男役を見ているファンも存在するようです。
そういった人たちはタカラジェンヌを自身の身内や子どもとして扱っており、その男役を「ちゃん」づけで呼ぶなど、保護者感覚で応援している*2というのです。
またこの「ちゃん」づけという現象は、ファンクラブのメンバーだけでなく、ファンクラブの運営側が行っている場合もあります。
その例として、美弥るりかさんの現役当時のFC「FANCLUB RURIKA」における、美弥さんの呼び方を確認します。
そのために美弥さんのお茶会にて配布されたプログラムを確認すると、美弥さんの入退場は「るりかちゃん入場」「るりかちゃん退場」と記されているし、その下に記載された諸注意においても、「るりかちゃんへのプレゼントやお手紙は、受付にてお預かり致しております。」*3とあります。
(タカラジェンヌのお茶会のプログラムを修士論文の参考資料に使ったの、おそらく世界中で私しかいないし、資料を集める中で最後はヅカヲタとしての自分が勝ったと思った🤣)
したがって、FC内において美弥さんは「るりかちゃん」とちゃんづけで呼ばれていたことが分かります。
このような場合は、自身の子どもや身内として男役を応援するような意識が、FCに所属するファンの間においても共有されていくでしょう。
上記を踏まえると、男役を男性の代替物として見ているようなファンの意識は決して読み取れず、男役とファンの間でイメージの「ズレ」があると言えます。
以上のように、劇団やファンという男役を取り巻く存在を加味すれば、そこにはイメージの「ズラし」/「ズレ」が存在し、現在の男役イメージは複雑な諸相を成しているということが指摘できます。
(この点はもっと論じてと先生からご指摘頂きましたが、残念ながら修士論文内では書けなかったので、一生かけて考えたいと思います)
男役イメージはただ男役自身だけでなく、劇団やファンも合わさって形成されるという点が重要ですね✏
いつかのパワーポイントで作った図が役に立った…😉
次回はいよいよシリーズ最終回!!
全ヅカヲタが衝撃を受けた、『宝塚グラフ』2022年1月号のあのポートレートについて考えます🌸
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ファンの期待を優先するイメージ作り(1980s~Ⅳ)【オフにおける男役イメージの変遷⑫】
こんばんは🌛
月組初日、誠におめでとうございます。
無事に幕が下りたということで、月ファンとしても大変嬉しいです。
こちらの男役イメージシリーズですが、段々と終わりが近づいて来ました…。
今回も含め残り3回、頑張って書いていきますね💪
前回の⑪では、90年代まではまだ男役イメージに揺らぎがあったという点や、「女性としての面も残したい」という、男役自身の希望も選び通していたという点を指摘しました。
実は2000年代に入ると、この選択に変化が現れます…
そこで登場するのが男役イメージ確立・第3の視点である、「ファンの期待を優先するイメージ作り」です。
スカートによる男役イメージの破壊
現代において男役がオフでもスカートを着用しないのは、男役が自ら「男役」になりきるためということに加え、ファンのイメージを壊さないためという気遣いもある*1とされています。
つまり⑩で確認したように、
男役を極めるために彼女たちがスカートを排除していく中で、いつしか男役のスカート姿は、ファンが抱く男役イメージを壊してしまうものとなったと考えられます。
そしてこういったイメージの破壊がなされるのは、②で紹介した「タカラジェンヌの四層構造」の中で指摘するような、
「ファンは舞台を下りた後でも男役/娘役のイメージを崩さないことを求めている*2」という、男役に対するファンの消費構造が出来上がったのが理由にほかならないでしょう。
自身の希望よりファンの期待
オフのファッションに関して、男役のイメージを壊さないようなものを身に纏うという姿勢は、2001年における紫吹淳さんの、以下のような発言にも見られます。
舞台上では徹底して男を追究して、舞台を降りたら、まあスカートははきませんが、ひとりの“男優”というか俳優でいたい。そして時代を感じていたいです。実はスーツはあまり好きじゃなんいですけど、お洋服をいろいろと着るのはすごく好きでして、スカートをはけないのは実は悔しいのですが、まあ、それは“後々の夢”としてとっておきまして。
ただ、ふだんの装いも男役像を壊さない程度にしなくては。宝塚をしょってたつ立場なので、そういうとろこ(原文ママ)は気をつけないといけません*3。
以上より、「男役だからスカートは着用しない」「オフのファッションは、男役イメージを壊さないものにする」という男役の意識は、この頃には確立していたと考えられます。
加えて注目したいのは紫吹さんが、「スカートをはきたいが、男役としては着用できない」と発言している点です。
⑪で確認したように、90年代までの男役はスカートの着用などを通じて、女性としてありたいと思う男役自身の希望を通していました。
しかし紫吹さんは、スカートをはきたいという自身の希望よりも、ファンが抱くような男役イメージを壊さないことを優先しておられたのです!
かくして、男役自身の希望よりもファンの期待を優先するという形で、「男役はスカートを着用しない」という構図が出来上がったと考えられます。
この転換は、オフの男役イメージの確立にあたってかなりエポックメイキングだと思いますね…
これに気づけた時は、興奮のあまり震えが止まりませんでした。
スカステの開局と、オフの露出機会の激増
さらに2002年には、タカラジェンヌのオフの露出量が格段に増える出来事が起こりました。
それは皆さまご存じ、「TAKARAZUKA SKY STAGE」の開局です!
みんな大好き、私も大好きスカステ。
最近開局20周年を迎えたのも、記憶に新しいですね。
スカステでは公演の映像はもちろんのこと、本シリーズで扱うような、オフのタカラジェンヌが登場する番組も放送されていますよね。
このチャンネルの登場が、ファンやタカラジェンヌにどのような影響を与えたかに関しては、以下のように説明がなされます。
舞台外でのタカラジェンヌの姿をファンが見る機会が激増した。それまでは舞台の上での役作りやセルフプロデュースに専念すればよかったが、舞台外でのオフの姿(それは完全なオフではなくあくまでもタカラジェンヌとしての作られたオフである)やトークスキルも求められるようになり、またスカステ番組がきっかけで人気が出る生徒も出現するようになった*4。
以上の記述は、『宝塚グラフ』や『歌劇』におけるオフの姿に関しての記述がなく、開局以前はオンだけに専念すればよかったという点には、疑問が残ります。
しかし、ファンがオフのタカラジェンヌの姿を見る機会が激増したという点や、タカラジェンヌがオフの姿を作ることを求められるようになったという点は、注目に値するでしょう。
それまでのオフの姿といえば、雑誌の数ページや入出・お茶会など、限られた媒体・空間においてのものでした。
また後者の姿は、活動に参加できるごく一部の人しか見ることができないものでした。
しかしスカステの登場により、チャンネルに加入さえすればその場に行かずともオフの姿を見ることができるようになったというのは、かなり大きなことですよね。
また番組がきっかけで人気が出る生徒も出現したという点は、舞台上――つまりオンだけでなく、番組内でのオフの姿もまた商品となるということをタカラジェンヌがはっきりと自覚する契機となり、彼女たちがますますオフの姿に磨きをかけるようになったとも考えられます。
(男役イメージの話とは少しずれるかもしれませんが、スカステの番組で人気が出た男役としては、紅ゆずるさんが代表例でしょうか…)
そして男役側もオフの姿を「見られる」ことが格段に増え、ファンからの期待を強く意識するようになり、ファンが抱く男役イメージをより強固なものとして体現していくようになったのではないでしょうか。
オフにおける男役イメージの「確立」まとめ
以上⑨〜⑫の記事をまとめると、
1. トップコンビ制度によって、オフの姿でも男役を演じるという雑誌記事が登場した。
2.「オフでもストイックに男役の芸を磨く」という姿勢が広まり、それはスカートを排除するというファッション面にも及んだ。
3. 自身の希望よりもファンの期待を優先し、男役としてのイメージを壊さないようなファッションでのイメージ作りが行われるようになった。
これらの3点をきっかけとし、1980年代以降、「オンとオフに連続性が存在する宝塚の男役イメージ」が確立していったと結論付けます。
やーっとやっとここまで来ました…🥲
次回は、「それでもやっぱり男役のイメージには、今でもズレ/ズラしがあるよねー?🤔」という点について言及したいと思います🍒
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*1:中本千晶『なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか』東京堂出版、2011 年、p.48
*2:東園子「『宝塚』というメディアの構造――タカラジェンヌの四層構造と物語消費」 青弓社編集部編『宝塚という装置』青弓社、2009 年、p.24
*3:「私は常に役に染まりたい 紫吹 淳 月組「大海賊」「ジャズマニア」制作発表[2]」SUMiRE STYLE 010710、http://www.sankei.co.jp/enak/sumirestylevintage/takara/010710_2.html
*4:嵯峨景子「宝塚と男役 “格好良さ”の伝統とアップデート」『ユリイカ』2014年9月臨時増刊号 総特集=イケメン・スタディーズ、青土社、p.216
男役のスカートはいつまで?―男役/女性の揺らぎ(1980s~Ⅲ)【オフにおける男役イメージの変遷⑪】
こんばんは☔
続きを書くのがまたまた久しぶりになってしまいました💦
思えばこのシリーズの大元になった修士論文を完成させたのが、もう半年も前のことになるのですね…半年間あっという間だった…
さて、⑨・⑩とオフにおける男役イメージが「確立」したと考えられる1980年代を見て来たのですが、
その「確立」の経緯として、
1.トップコンビ制度が定められたことにより、雑誌においてオフの姿でも男役を演じるという記事が登場した。
2.「オフでもストイックに男役の芸を磨く」という姿勢が広まり、それはスカートを排除するというファッション面にも及んだ。
という現象を紹介しました。
しかし上記の二点のようなことが起きる一方で、1980年代以降もオフの男役イメージには「揺らぎ」が存在していたと考えられます。
それは当時の雑誌において、男役自身が“女性としての面を残す”ということを敢えて選び取っていたように思われるポートレートやインタビュー記事が、多数掲載されていたからです。
男役とスカート―1980年代
1980年の『宝塚グラフ』には「スター・カタログ」と題された、男役たちが様々な質問に答えるコーナーが連載されていました。
その中で「おしゃれ ファッションの傾向」という項目には、彼女たちがスカートを所持したり着用したりしているという情報が記されています😲
その箇所を抜き出してみると…
・今まではパンタロンが多かったのに最近はスカートが増えてるの*3。
(松あきらさん)
あら、やっぱり当時は男役も「スカート履いてます!持ってます!」ってバリバリ言ってたんですね~。
また1980年代後半になっても、男役がスカートを履くという現象は続いていました。
例えば『宝塚グラフ』1986年12月号には、剣幸さんが髪飾りを着けて髪を結び、ピンク色のスカートを着用したポートレートが載っていました🚙
(細かくて車か電車かよく分からないんですけれど、着けておられる乗り物型のアクセサリーがまたお洒落で、これはこれで素敵なんですけどネ)
また『宝塚グラフ』同年7月号において、男役のファッションに関する記事を発見🔍
そこで高汐巴さんは、「ズボンに飽きた時など、最近はスカートをはく事もあるんですよ*4」と述べておられます。
加えて当時、剣さんは月組のトップスター、高汐さんは花組のトップスターという立場でした。
トップさんであってもスカートを履いて女性としての面を残していたというのは、今から見るとかなり驚きの事実です😳
男役とスカート―1990年代
そして1990年代に入っても、「男役もスカートを着用/所持する」という写真や記述は、極めて少なくなるにしても残っていました。
グラフのポートレートで言うと、1990年11月号には北斗ひかるさんの、1995年1月号には香寿たつきさんのスカート姿が掲載されています。
北斗さんの方に至ってはなんと、彼女のサヨナラ特集のポートレートでした。
今の感覚だと、このコーナーでは男役の集大成としてのお写真を載せるのがナンボな気もしますが…
(イイ女風の格好いいスタイルではあるものの)イヤリングにブラウス、タイトスカートにハイヒールでばっちりポーズを決める北斗さんのお写真に、当時のファンはどのような想いを抱かれたのでしょうか…😰
(ああ、もう女性になっちゃうんだなっていう現実を突きつけられる哀しみが余計募りませんか😭それとも敢えて、男役マジックが解けた卒業後のお姿を先に載せておく作戦なのでしょうか。そもそもせっかくまだ在団中で男役なのに、サヨナラポートの一枚を女性としての姿に割くなんて、勿体なくないですか…考えれば考えるほど分からん……)
また『歌劇』1996年2月号には、男役のスカート所持に関する記事が掲載されていました。
それは花組の下級生3人が、トップである真矢みきさんにインタビューするというものなのですが…
聞き手の一人である初風緑さんは真矢さんに、「スカートは持っていますか?*5」という質問を投げかけています。
気になる真矢さんの答えは、「持ってないかな。*6」というものでした。
しかしこのような質問が出るというのは、当時はまだスカートを所持している男役も存在していたことの証拠でしょう。
絵麻緒さんが吐露した「男役/女性の葛藤」
加えて、資料を探していて印象的だった絵麻緒ゆうさんのインタビュー記事を紹介しますね。
⑩では下級生時代の絵麻緒さんが、男役芸を磨くためオフでも男役の所作を行っていたという、以下のエピソードを引用しました。
――男役十年とよくいわれますが、それを経てみて如何ですか?
(中略)十年の間に身体に染み付いているものは大きくて、電車の中でもつい足を広げて座っていたりします。それは下級生の頃にいろいろと男役の座り方を研究して、普段から男っぽくしようとしていたからなのですが*7
実はこの話には続きがあってですね…
それが、こちら。
今になって、ふとそれは女性としての恥じらいがないのかなと思って反省することがあったんです。だから、これからは舞台の上ではよりバリバリの男役でいたいと思う反面、オフでは年相応の女性として過ごし、オンとオフのギャップを楽しんでいきたいと思っています*8。
このような絵麻緒さんのエピソードからは、オフにまで男役が浸蝕することと、女性であることの間の複雑な葛藤が伺えます。
オフでも男役のイメージを作るという風潮が広まる中で、当時の男役が抱えていた「男役としての自分」と「女性としての自分」の揺らぎが、端的にあらわれているのではないでしょうか。
そして最終的には「オフの間は女性としてありたい」とも宣言し、男役であっても自身の希望を貫くという姿勢を見せておられます。
(今回のキーアイテムであるスカートへの言及はありませんが…)
今の男役さんがこんなことを宣言されたらビックリしちゃうなと、記事を発見した当時は本当に衝撃的でした。
ですが、今のようなオフの男役イメージが徐々に形作られていく中で、このような葛藤を抱えていた男役さんも、もちろん存在していたということなのですよね。
また表には出さずとも、同じような葛藤を抱かれる男役さんが現在進行形でいらっしゃったとしても、何らおかしくはないような気もします。
男役のスカートはいつまで?
最後に、タイトルに用いた「男役のスカートはいつまで?」という疑問に関して。
全ての雑誌媒体を確認できたわけではないので管見の限りですが、最後に男役のスカート姿のポートレートが確認できたのは、上述の『宝塚グラフ』1995年1月号(香寿たつきさん)でした。
また『歌劇』1996年2月号には、男役のスカート着用/所持を匂わせる記事が掲載されていました。
よって問いの答えとしては、「1990年代までは、男役は確かにスカートを着用していた」というものにしておきます。
また当時の男役は、スカートの着用などを通じて女性としての面も敢えて残しており、「女性としてありたい」という自身の希望も通していたということが考えられました。
こんな感じで1990年代までの男役イメージにはまだ揺らぎがあったのですが、次回はいよいよ2000年代に突入。
現在の私たちに馴染み深い、オンとオフに連続性のある男役イメージが「確立」する第三の点について論じます。
またそれに大きな影響を及ぼしたと考えられる、先日20周年を迎えたみんな大好き(私も大好き)な、あのメディアも登場しますよ~🌟
読んで下さってありがとうございます👗👖
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*1:「順みつき スター・カタログ」『宝塚グラフ』1980年1月号、宝塚歌劇団、p.38
*2:「寿ひずる スター・カタログ」『宝塚グラフ』1980年4月号、宝塚歌劇団、p.44
*3:「松あきら スター・カタログ」『宝塚グラフ』1980年6月号、宝塚歌劇団、p.36
*4:「スター・スコープ:ファッション拝見②」『宝塚グラフ』1986年7月号、宝塚歌劇団、p.24
*5:「ヤングトリオの、とことん素顔に大接近⁉〈真矢みき〉」『歌劇』1996年2月号、宝塚歌劇団、p.126
*6:「ヤングトリオの、とことん素顔に大接近⁉〈真矢みき〉」『歌劇』1996年2月号、宝塚歌劇団、p.126
*7:「カラー企画/VOICE -絵麻緒ゆう、ナチュラルな心を持ち続けて-」『宝塚グラフ』1998年2月号、宝塚歌劇団、p.11
*8:「カラー企画/VOICE -絵麻緒ゆう、ナチュラルな心を持ち続けて-」『宝塚グラフ』1998年2月号、宝塚歌劇団、p.11
『Rain on Neptune』のフランス語♦
こんばんは🌛
久々に、宝塚のフランス語を解説してみるシリーズです🎈🇫🇷
今回取り上げる作品は、月組の『Rain on Neptune』✨
谷貴矢先生の描かれるちょっと不思議でキラキラな宝石の世界に、れこうみコンビの硬質な美が溶け込んで、最高にファンタジックで素敵な作品となっていましたよね💎
またショーパートでは、アニソンあり宝塚の名曲ありで様々な月組生のお姿を見ることができ、これまた盛り上がりが凄かったです!!
(タカヤ先生は世界観の作りこみと、そのイメージを叶える選曲がべらぼうにお上手だと思ったので、やはり彼のショー作品が見てみたいなと思いました。。)
さて、この作品にはノートルダム寺院が登場することもあり、月城さん演じる主人公が生まれ育った場所はフランスであると推測できます。
そしてその影響か、登場人物たちの役名はフランス語から取られたものが多いです。(宝石のお役や天体のお役は除く)
そこで今回は、『Rain on Neptune』に登場するそれらのフランス語を解説していきますよ~🌟
シャトー・ド・カロー♦
月城さん演じる主人公ですね。
・で区切れる通り、このお名前は
①シャトー
②ド
③カロー
という3つの単語から成っています。
それぞれ詳しく見ていきましょう!
①シャトー:château
「城、宮殿」を意味する名詞です。
ちなみにヴェルサイユ宮殿は、“château de Versailles”と表現します。
朝夏さん主演の宙組大劇場公演『王妃の館 -Château de la Reine-』のシャトーもこれですね。(reineが女王、王妃という意)
②ド:de
ここでは、「~の」という意味の前置詞です。
英語におけるofと同じような働きを成します。
なので“A de B” だと、「BのA」という訳になります。
③カロー:carreau
「(トランプの)ダイヤ」を示す名詞です♦
①~③を組み合わせると、月城さんのお役は「ダイヤの城」という訳となります。
シャトーは、月城さんの「城」から来ているのでしょうね。
(以下、このノリが続くこととなります😅)
ベルメール
この作品で海乃さんは氷の女王・ネプチューンと、ベルメールという2つのお役を演じておられます。
ベルメールも実は、
①ベル
②メール
という二つの単語に分けることができます。
①ベル:belle
「美しい」を示す“beau”という形容詞が、続く“mer”という単語の性質(女性・単数)に伴って変化した形です。
『ピガール狂騒曲』の「ラ・ベル・エポック・ド・パリ♪」の「ベル」も、この“belle”です。
②メール:mer
「海」という意味の女性名詞です。
①と②を組み合わせると、ベルメールは「美しい海」という訳になり、これまた海乃さんの芸名から来た役名であると分かります🌊
アブリコ
鳳月さん演じる月の王・トリトンの、地球での本当の名前ですね。
アブリコはフランスで“abricot”と綴り、意味は「あんず」です。
これまた芸名から…🤣
ピック♠
夢奈さん演じる、元宇宙警官でシャトーの仲間です。
ピックは“pique”という綴りで、「(トランプの)スペード」を意味します。
トレフル♣
英さん演じる天才ハッカーで、シャトーの仲間です。
“trèfle”と綴るこの単語は、「(トランプの)クラブ」を指します。
クール♥
彩さん演じるアンドロイドで、同じくシャトーの仲間ですね。
クールは“cœur”と綴り、「(トランプの)ハート」という意味です。
アンドロイドということもあり、いつも冷静沈着だから“cool”なのかと思いきや、これもトランプから来ていたんですね🃏
(余談になりますが、この時の彩さんのくるんとした前髪のアレンジが、オシャレでとっても好きです💘)
プランタン
春海さんが演じる2役目である、回想に登場する星間サーカスの団長です。
“printemps”と綴るこの単語は、「春」を指します。
(ここにきてまた、芸名シリーズ出ました🌸)
リュミエール
トリトンの妻で、ネプチューンのクローン元となった人物ですね。
(途中までまんまとベルメール=ネプチューンだと勘違いしていたので、ここのミスリードへの持って行き方が面白いなと思いました。)
リュミエールは“lumière”と綴り、「光」という意味です。
先日発表された、朝月さんのミュージックサロンのタイトルにも用いられた単語ですね❄
いかがでしたでしょうか?
配信で一回しか見れていないので、セリフや歌詞などに他にもあったかもしれませんが💦
タカヤ先生の、芸名から役名を取るセンスがさく裂していましたね💥
⋆今回も大活躍した愛用のフランス語辞書が、偶然にもネプチューンカラーでテンション上がりました💙
⋆他のフランス語シリーズはこちらからどうぞ☆
(いつか、「『ピガール狂騒曲』のフランス語」も書きたいですね…)
ここまで読んで下さって、本当にありがとうございます♦♠♥♣
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どハマりしているC-C-Bを、勝手に宝塚と絡めて紹介する話
皆さま、こんばんは🥥🏝
私は平成1桁台後半生まれながら、1970-80年代の昭和ポップスを聴くことが好きなのですが…
その中でも現在どハマりしているのが、80年代半ば〜後半に活躍した、C-C-Bというロック・バンドです🎶
彼らの代表作である「Romanticが止まらない」は、耳にしたこともある方も多いのではないでしょうか?
(皆さまC-C-Bといえば、センターのピンク髪プラフレーム眼鏡の笠さんがドラムを叩きながらハイトーンで歌うお姿を想像されるみたいですね)
昭和好きなくせに何故か全く通ってこなかったのですが、昭和の曲を色々漁る中で「Romantic~」に出会ったのが、C-C-Bを聴き始めたきっかけです。
今ではシングル曲だけには飽き足らず、アルバム曲まで聴き始めるなど、もう四六時中C-C-Bのことを考えてしまうくらい、どハマりしています☺️💕
この溢れるときめきをどうにか形にしたく、今回の記事を書く運びとなりました🙌
またここは宝塚ブログですので、各組のスターさんぽい曲をセレクトしてご紹介+αする形で進めていきますね🌟
それでは行ってみましょう🎸
One, Two, Three, Four!
(「ないものねだりの I Want you」のイントロ風に)
(ほんとはワン・タン・チャー・シューって言いたかった)
花組
柚香光さん🌸「浮気なジル」
柚香 光(Rei Yuzuka) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
まず疾走感と色気のある曲の雰囲気が、柚香さんぽいと思って!
またクールで鋭利なヴィジュアルながら、本当に心があられるスターさんなので、“ほんとに大事なのは愛 それを君に教えてあげたい”という歌詞が示すような、この曲の二面性も彼女に当てはまるかなと、聴いていて考えました。
水美舞斗さん🌸「愛の力コブ」
水美 舞斗(Maito Minami) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
水美さんといえば筋肉なのでー!
“天使たちのウエイトリフティング”といった歌詞は宝塚のトンチキに通じるところも感じるのですが、聴いていると段々クセになってくるところがまた良きですね。
(最初タイトルを見た時、愛のかこぶ…?となったのはここだけの話😂)
月組
月城かなとさん🌙「空想Kiss-2」
月城 かなと(Kanato Tsukishiro) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
最初に、くちびるを奪ってみたいけど空想でやめとくというあきらめ感が、なんだか月城さんぽいかなと思って。
(月城さんってこんなに美人なのに、なぜかかっこ悪いお役が似合われるんですよね…宝塚七不思議の一つ…)
また、“そんなことないやい 失恋じゃないやい”というフレーズのコミカルさが、実は面白いという月城さんの持ち味にもマッチするかなと思います。
そして、大人っぽさもプラスしたくて敢えての2を選曲。シャララララ♪というコーラスがまたお気に入りです♡
(無印は、音符何個分か高いです。よかったら聴き比べしてみて下さい)
あと、この曲のPVに出てくるC-C-B Jr.のアニメがかわいくって好きです🧡
鳳月杏さん🌙「信じていれば」
鳳月 杏(An Hozuki) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
サビを歌っておられるヴォーカルの米川さんの、力強く歌い上げる感じが鳳月さんに合いそうだなと思いまして💛
(それにしても、鳳月さんってロックシンガーが似合われませんか…?
『スターダム』とか『MY HERO』のイメージなのかしら…)
雪組
彩風咲奈さん❄「スクール・ガール」
彩風 咲奈(Sakina Ayakaze) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
爽やかさの中にほんのり切なさがにじんでいる青春ナンバー🏫
初めの“グッド・バイ・アイ・ラヴ・ユー↑↑↑↓”が堪らなく好きです。
パステルカラーとみかんの香りを漂わせているイメージの彩風さんに🍊
あと、彩風さんの下がり眉の優しさと切なさにちょっぴり胸が痛くなる感じも好きなので、そういったあたりもまた曲の雰囲気に似合われるかなと思います。
朝美絢さん❄「不自然な君が好き」
朝美 絢(Jun Asami) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
“別にきらいなら 帰ってもいいよ”という歌詞のツンデレ感が、ツンデレイケメンなお役が嵌る朝美さんに似合われるかなと思って選びました❤
朝美さんのセクシーヴォイスで聴きたい…
星組
礼真琴さん⭐「ないものねだりの I Want You」
礼 真琴(Makoto Rei) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
これは雰囲気よりかは、礼さんでパフォーマンスを見たい!というところから。
歌もダンスもパーフェクトな超人・礼さんに、ラップも含め3人のパートを歌いこなしつつ、爆踊りして頂きたいと思って選びました。(礼さんならできる)
この時の関口さんのチリチリパーマのロングヘアーが物凄くツボなのと、パフォーマンス時の目線の使い方にノックアウトされました。息も絶え絶えです。
瀬央ゆりあさん⭐「元気なブロークン・ハート」
瀬央 ゆりあ(Yuria Seo) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
瀬央さんの明るいキャラクターなら、失恋でブロークン・ハートしてても元気でいらっしゃいそうだと思ったのでー!
(眉間に皺を寄せて恋に苦悩する瀬央さんもステキですけどね💙)
宙組
真風涼帆さん🪐「抱きしめたい」
真風 涼帆(Suzuho Makaze) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
真風さんの溢れんばかりの包容力が遺憾なく生かされる曲かなと?思ったので。
歌詞に大人のレンアイを感じさせるところもまた、真風さんを連想します。
(“シーツの海”という歌詞に、特に感じますね…)
あと、歌い出しが“風の部屋で…”なのもありますね!
芹香斗亜さん🪐「Lucky Chanceをもう一度」
芹香 斗亜(Toa Serika) | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
え、ツイてない芹香さんってなんかすごい萌えませんか…??
個人的にこの曲のPVがすごく好きなので、Pinkの薔薇の束を背中に隠しながら芹香さんに再現して頂きたいですね~
(しかし白ハットに白スーツって、ほぼロッキーな気もする…😅)
あとPVの2番における、英樹さんのキスに至るまでの流れの演技にものすごくときめきました💘
その他お気に入り曲
あと、選ばなかったけどお気に入りな曲をつらつらと紹介しておきます!
(沢山ある😅)
(宝塚と絡めたり絡めなかったりしてます)
・「2 Much, I Love U.」
なんかめっちゃ好きです。歌詞死ぬほど重いけど。
情景が思い浮かぶこともあり、“輪を描く長い髪 まるでMerry-Go-Round”という歌詞がお気に入りです。
・「原色したいね」
サビに挟まる田口さんのキーボードがクセになりますね。
(キーボードがクセになるのは、どのC-C-B曲にも言えますが)
あとはこの曲で「え、米川さんってめちゃくちゃかっこいい…??」と気付いた記憶です。
これは関口さんが脱退し、4人体制になって彼がセンターに躍り出たからこそなのですが…
こんなかっこいい人を今まで隠していた(?)なんて、C-C-Bズル過ぎるよ!!!!!!😫と思いました。
(それにしても、5人体制における米川さんの映らなさよ…
彼の映り込みを探すのは、宝塚の映像で下級生の映り込みを血眼になって探すのとよく似ている…)
・「Love is Magic」
“さよなら恋人 君を忘れない”
“哀しい夜が来たら瞳を閉じてごらん 君の心の中でぼくは生きているはず”
といった歌詞が示すように、御贔屓様の卒業時に聴きたい一曲です。
・「Here Comes The C-C-B」
C-C-Bの自己紹介ソング的な曲。
“淋しい時は呼んでよ ぼくらは飛んでくる”という歌詞の通り、この曲をかけるとC-C-Bがそばに来てくれる感じがして、胸があたたかくなります。
・「スクール・ボーイ」
彩風さんのところで紹介した、「スクール・ガール」の歌詞違いバージョンですね。
歌詞が優しくて心に沁みますし、ヴォーカルの関口さんのキャラクターにも合っていると思います。
・「噂のカタカナ・ボーイ」
関口さんがセクシーをまき散らしながら歌われる曲!
その色気にもうクラクラです。瞳の光線くぎづけ。
(鼻筋フェチなので、関口さんのルックスがまたツボなのです…)
(宝塚でも好きなのは、圧倒的に鼻筋が綺麗なスターさんが多い)
・「御意見無用、花吹雪」
これも関口さんの曲ー!
間奏がめちゃくちゃ「PARADISO」ぽいことに今気づきました😳
(リリースはこの曲の方が先だったりするのですが…😅)
ダンディズムシリーズお好きな方へ👔
(そして確認のために礼さんのPARADISOを久々に聴き、上手すぎてひっくり返りそうになった🙃)
・「Born In The 60's」
ピアノの音色が心地よいナンバー。
この曲を演奏しているメンバー4人が生を受けた、1960年代に思わず想いを馳せてしまいますね。
・「Blue Guitar」
出ました。米川さんガチ恋曲その1。
好きです。(もはや好きすぎて語れない)
・「Only For You, Only For Me」
米川さんガチ恋曲その2。えーん好き。
(余談ですが、彼のギターの演奏を聴いて私はやっと、"うなるギター"という表現の示すところを理解した気がします。)
・「Let's Go Climax」
最高に盛り上がる、でもどこか切なさがにじむ曲。(ラストライブでの文脈を知っちゃったからかな…)
トップスターさんのサヨナラショーの最後に聴きたいような一曲です!
※22.7.9追記 更にお気に入りの曲が増えちゃったので、追加で語る…
・「チリドッグがお気に入り」
“僕のハートは君の愛がほしいのさ”の綺麗な高音に、ザクっと“Come on Baby”が切り込むところが好きです💘
本当に幅広い魅力的な声がそろったグループだなぁと、改めて。
(モスバーガーにチリドッグ売ってるらしいっすね…(すぐ影響されるやつ))
・「東京…ナイト・フェイス」
夜に女の子をナンパしに行く曲なんですけど、聴けば聴くほど、花組のショーでチャラけた花男たちがスーツに身を包んで踊るシーンしか思い浮かばないですね😇
・「I SAY, I LOVE YOU」
ノリの良さと、甘い歌声にハマってしまいました💕
歌詞に“月を浴びて波が輝く”とあることもあり、月組のショーで聴きたい一曲ですね🌛
・「ラスト・ステップ」
ジャズっぽい曲調がステキなナンバー♪
男役さんたちが粋な感じで踊っているシーンが頭の中に浮かびます!
(このラインナップを見ると、わたし米川さんと関口さんが好きなんだな…とよく分かります。
メンバーの皆さまそれぞれ素敵なのですが😌)
おわりに
なんだかもう彼らのルックス、パフォーマンス、キャラクター…
全てひっくるめて愛しいです(重症)
今回紹介できたのはごく一部ですが、本当に名曲揃いですので…
これを機に、「Romantic~」以外もぜひ聴いてみてください♬
また、(ザ・アイドルな曲を例に出すのもアレかもしれませんが)最近だと田原俊彦の「NINJIN娘」など、宝塚のショー作品で昭和の曲が使われることもあるので、いつかC-C-Bの曲が選曲されたら嬉しいです🥰
※ハマりたての勢いで書いた故、間違いや的外れな内容等ありましたら申し訳ございません💦
ここまで読んで下さって、本当にありがとうございます🎤🎸🥁🎹
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オフもストイックに!芸を磨く男役たち(1980s~Ⅱ)【オフにおける男役イメージの変遷⑩】
こんばんは🌟
他の創作に命を捧げていたので、久しぶりの更新となってしまいました😅
(今度また書きます)
前回から、時代は1980年代に突入。
オフの男役イメージが「確立」していく経緯を、三つの観点から見ています。
今回は二つ目の、「オフでもストイックに芸を磨く」という男役たちの姿勢に注目しますよ~🤩
前回のおさらいはこちら👇
男役十年・今むかし
まず根源的なところですが、「男役」の作られ方について、改めて考えてみたいと思います。
男役。
それは私たちが、ちょっとやそっとで真似できるものではありません。
男役とは実際の男性を演じるのではなく、独自の美学や様式美を有した型であり、「男役十年」という言葉が示すように、長い時間をかけて磨かれていくもの*1とされています。
つまり男役というのは、一年や二年で簡単に体現できるものではなく、十年といった長い時間をかけて極めてこその存在であるとも言えるでしょう。
また、「男役十年」という言葉について。
この言葉が使われ始めた最古の記録は、残念ながら調べ切ることができなかったのですが、1973年1月号の『宝塚グラフ』には、以下のような記述がありました。
男役をものにするには十年はかかるという“男役十年”の定義がいまもタカラヅカに生きている。汀夏子はきっちりその十年目に栄光の座についた*2。
以上のように、「男役十年」というフレーズは、既に1970年代の初めには存在していたことが分かります😳
オフでも男役の芸を磨く?
このように、ものにするには十年もの歳月がかかるという宝塚の男役。
そんな中で一日でも早く理想の男役像に達するべく、オンのみならずオフでも男役の所作などを色々やってみて男役の芸を磨くという男役さんのエピソードは、枚挙にいとまがないですよね!
例えば『宝塚グラフ』1998年2月号において絵麻緒ゆうさんも、以下のようなエピソードを明かしています。
――男役十年とよくいわれますが、それを経てみて如何ですか?
(中略)十年の間に身体に染み付いているものは大きくて、電車の中でもつい足を広げて座っていたりします。それは下級生の頃にいろいろと男役の座り方を研究して、普段から男っぽくしようとしていたからなのですが*3
以上より男役として絵麻緒さんは、普段からも男っぽく振る舞い、男役としての芸を磨いていたということが分かります。
舞台の上や稽古場のみならずオフにまで芸を磨くことは、男役を極めるにあたって熱心な姿勢であると言えるでしょう。
そして絵麻緒さんは1987年のご入団ですから、1980年代末くらいにはもう、男役の間でそのような姿勢が広まっていたということでしょうか。
ですが、もっと昔はそうだったわけでもなさそうです。
例えば、1972年ご入団の高汐巴さんのお話。
以下はこちらのインタビューにおいて、高汐さんが男役の芸をどのように磨いていったかというところなのですが…
竹山:入団後、同期の方々は助けてくださいましたか。
高汐:はい、みんなで弱い部分は助け合いましたが、それでも自分で戦っていくしかない場所なので……。でも、そんな中ですごくいろいろなことを吸収していきました。女性が男性を演じる部分では、生活の中にまったくない感覚を身につけていかなくてはいけないわけです。フランス映画などを観て、男性のかっこいい所作などを勉強しました。
竹山:目標になるモデルさんとか俳優さんはいらっしゃったのですか。
高汐:すべてです。どんな映画もその中から参考にするというか。あと、美術館に足を運んだり、アートに触れたり、あらゆるものを参考にしたという感じです。
竹山:その頃は椅子に座る時も足を開かれて、普段から男っぽくしていたということも?
高汐:それはないです! 声も低かったので、男役は割と合っていたんじゃないですか。稽古は厳しかったですが、舞台は楽しく、面白かったですからね*4。
なんと、高汐さんは普段から男っぽい所作をする、というところまではいっていなかったそうです😲
高汐さんから絵麻緒さんの間が少し開いているので、これだけでは何とも言えないのですが…
70年代くらいまでは、男役がオフにまで男らしく振る舞って男役の芸を磨くという風潮は無かったのかもしれません。
⑨までの記事で確認したように、これは70年代までの男役はファッションもガチガチに男役らしいものを着ていなかった、という点もまた関係しているかもしれませんね。
ファッションもストイックに!スカートはNG
また、オフに関して更にストイックな姿勢を貫く男役も登場してきていました。
そしてそのような男役は、オフのファッションであるにも関わらず、男役を極めるうえではスカートが邪魔者になるとみなします。
ここでご登場頂くのは、究極の男役というイメージの瀬奈じゅんさん😍(入団:1992年)
こちらの退団後のインタビューにおいて瀬奈さんは、「とにかくひたすらカッコいい男役でありたかった。完璧でスキのない男役が私の美学でしたから」と語るうえで、「男役でいくと決めた日からスカートははかなかった」と述べておられます*5。
ここから、スカートの存在が男役を極めるにあたって障害になるという認識や、スカートを履かないことを徹底するという、男役を極めるにあたってオフの視覚面においてもストイックな姿勢を貫くという意識も伺えます。
瀬奈さんの究極のかっこよさには、こういったストイックな男役の美学もにじみ出ていたということなのでしょうか…
また瀬奈さんの発言とも関連したところで言うと、「男役だからスカートは着用しない」という意識は、『宝塚グラフ』1996年9月号における和央ようかさん(入団:1988年)の発言にも見られます。
和央さんは普段着のおしゃれに関して、「男役としての拘りは、スカートを穿かない事ぐらいでしょうか(笑)*6。」と答えておられます。
文末の(笑)には、スカートを着用しないことしか拘りが無いことへの自虐も含まれていると読み取れますが、裏を返せば、そこだけは揺るがなかったとのことなのでしょう。
以上のように、1980年代以降に入団し下級生時代を過ごした男役たちの間では、「オフでもストイックに男役の芸を磨く」という姿勢が広まり、それは男役の所作を行ってみるという行動面や、スカートを排除するというファッション面にも及んだということが分かります。
★男役が自身のジェンダー・パフォーマンスを獲得していく過程に関しては、こちらの記事も大変読みごたえがあります!
第Ⅱ部 思考 ーフェミニズムをめぐる論考 ■読解/倫理 6.宝塚歌劇にみる男役・娘役の向こう側 ー生きていくためのファンタジー – 立命館大学生存学研究所
次回は、「で、結局男役はいつまでスカートを履いていたの🤔?」という疑問に迫ります🔍
読んで下さってありがとうございます🎩🌟
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*1:嵯峨景子「宝塚と男役 “格好良さ”の伝統とアップデート」『ユリイカ』2014年9月臨時増刊号 総特集=イケメン・スタディーズ、青土社、p.216
*2:「スター★コミュニティ マジメが売り物の汀夏子!」『宝塚グラフ』1973年2月号、宝塚歌劇団出版部、p.44
*3:「カラー企画/VOICE -絵麻緒ゆう、ナチュラルな心を持ち続けて-」『宝塚グラフ』1998年2月号、宝塚歌劇団、p.11
*4:「宝塚は「自分で戦っていくしかない場所」 元花組トップ高汐巴さん50周年に語る昔と今」Hint-Pot、https://hint-pot.jp/archives/118729
*5:「今、等身大で舞台へ―元宝塚トップスターの新たな挑戦 瀬奈じゅん(俳優)」WEDGE Infinity、https://wedge.ismedia.jp/articles/-/10307